※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
2016年から始まったWonder Woman誌の第7巻を読みました。前作で登場したWonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ) の双子の弟、Jason (イアソン)も引き続き登場します。
Written by: James Robinson
Art by: Various, Jesús Merino, Emanuela Lupacchino
Cover by: Jenny Frison
発行年 2018年
公式サイトはこちら。
この巻に収録されているのは、
- Silver Swan登場のエピソード
- 前巻でパワーを蓄えたDarkseidとの再戦
の二つです。
前巻でダイアナと和解したJasonですが、ダイアナと共にヒーローとして活躍したいと一緒に暮らすようになります。しかし持ち前の社交性が災いして町で一緒に飲んだ相手を連れ込んでしまい、ダイアナに怒られる始末。住んでいるところを簡単に知られてしまうと爆弾を仕掛けられる恐れもあるためヒーローは注意しないといけないそうです。――それは確かに。
そんなこんなで忙しい生活を送っているダイアナですが、ある事件で助けた少女が後にSilver Swanへと変貌するという事件に遭遇することになります。Silver Swanとの戦いの後にJasonは自分を見つめなおすためにダイアナから離れる選択をしますが、割とすぐに謎の鎧を身に着けて戻ってきます。本人もその鎧を誰からもらったのか良く分かっていないのですが、とにかくパワーアップしている様子。
Darkseidの再びの襲撃に、ダイアナとスティーブ・トレバーと共に立ち向かう――というのがあらすじです。
この本に収録されている両方のエピソードについて、感想を書きたいのですがネタバレになってしまうので続きは下になります。
***ここからネタバレ***
・Silver Swanのエピソード
「誰にでも優しい人は誰にも優しくない」という言葉があります。ダイアナは今回、そのパターンにはまってしまっていないかなと思いました。
Silver Swanになってしまった女性は、もともとはダイアナに助けられた人です。重傷を負った彼女を事件後ダイアナは何度も見舞っていたのですが、やがて訪れないようになります。一方、彼女は事故で母を亡くし、唯一の肉親を失います。
ダイアナのことを待っていた彼女ですが、ダイアナは訪れません。TVではダイアナの活躍の様子、今の事件の被害者に優しく接している様子が映し出されます。とうとう彼女はダイアナを攻撃すると決めたのでした――というのがあらすじです。
Silver Swanの視点から描かれる物語ですので、読んでいて「これは可哀想……」という気持ちになります。Greg Rucka氏がライターを務めていた時(感想はこちら)に敵役として登場したチーターやVeronica Caleも可哀想でしたが、Silver Swanも可哀想です。
ダイアナは自分が熱烈に待たれていることへの自覚がやや足りないのでは、忙しくてなかなか行けないのならその旨を自分から言っておくべきなのでは――と思ってしまうエピソードでした。
ヒーローが、一人の被害者に対して優しいのはいいのですけれど。自分が応えきれないような期待まで抱かせてしまうのは罪だと思います。
・Darkseidとの再戦の話
ダイアナと比べてまだまだ未熟なJasonですが、とにかく「お母さんと会えてよかったね」と思えるエピソードでした。
この2016年からのシリーズには人間界とアマゾン族の島であるセミッシラの間の行き来が難しいという特徴があります。というわけでJasonもセミッシラ島には帰れず、お母さんであるヒッポリタ女王に一度も会うことができていないのですが――Darkseidがセミッシラ島に進攻しようとしたおかげ(?)でわずかな時間でしたが会うことができました。
ダイアナにいろいろ言われてはいても、お母さんに実際に会って「愛している」と告げられることは今後のJasonにとって大きな意味を持つと思います。
ということで、謎の鎧による謎のパワーアップなど不穏な要素はいろいろありますが、たぶん乗り切っていけるんじゃないかなと思わせるエピソードでした。