2020年4月29日水曜日

Teen Titans by Geoff Johns Book One 感想

※このシリーズの各話感想は以下をご覧ください。
  • BOOK 1
  • BOOK 2
  • BOOK 3 (以上、Teen Titans by Geoff Johnsのシリーズ)
  • #43-#46 (カサンドラ・ケインゲスト回)
  • #66-#69 (キャシー・サンズマークが目立つ回)


 最近Wonder Girl (ワンダーガール、キャシー・サンズマーク)の活躍する作品を読んだので、彼女が登場するTeen Titansを読んでみました。Teen Titansは十代の少年少女がヒーローとして活躍するチームなので、基本的には明るいだろう――と予想していたら、この作品は重いオープニングから始まりました。

【基本情報】
Writer: Geoff Johns
Artists: Marlo Alquiza, Mike McKone, Kevin Conrad, Norm Rapmund, Tom Grummett
Cover by: Marlo Alquiza, Mike McKone
発行年 2017年(単行本の発行年。連載されていたのは2003-2004年)

公式サイトはこちら。


"SHE WAS LOST TO THEM."

「彼らは彼女を失った」

という一文から始まる物語です。彼女というのは若手ヒーローとして活躍していたDonna Troy(ドナ・トロイ)のことで、この物語の前に語られたエピソードで死んだようです。

ということで、精神的にがたがたになる若手ヒーローたち。
ドナ・トロイと一緒のチームで戦っていたNightwing(ナイトウィング、ディック・グレイソン)はチームを離れます。
若手ヒーローの中でも比較的年上のCyborg (サイボーグ、ヴィクター・ストーン)は改めて若手メンバーを集めたチームを作ろうとします。それは悪に対抗するためというだけではなく、普通の学校生活などがうまくいかないことが多い若手ヒーローが集まって、大人たちにも干渉されず、共に成長できる場を作ろうということでもあるのでした――ということで、大人たちのヒーローチームであるJustice Leagueも、基本的にはサイボーグの意見に賛成します。

とはいえ、子供たちの行動にあれこれ口出しするのは大人たちの性でもあり、ある意味では義務でもあり。大人たちと揉めたり、メンバー内で揉めたりしながらチームがチームとして機能するようになっていくのがこの一冊です。

簡単にこのシリーズでのTeen Titansメンバーをまとめておきます。

  • Cyborg (サイボーグ、ビクター・ストーン)
  • 事故により失った身体を機械により補い、ヒーローとして活躍するようになった。本作のTitansでは実質的にリーダー。
  • Starfire(スターファイアー、Koriand'r)
  • Tamaran星の王女であり戦士。故郷が滅ぼされたことから地球にやって来て、ヒーローとして活動するようになった。
  • Beast Boy (ビーストボーイ、ガーフィールド・ローガン)
  • 幼いころ病気を治すために投与された薬の副作用により、様々な動物に変身する力を持つようになった。チーム内のムードメーカー。
  • Robin (ロビン、ティム・ドレイク)
  • バットマンの三代目相棒。
  • Wonder Girl (ワンダーガール、キャシー・サンズマーク)
  • ドナ・トロイの後を継いで二代目ワンダーガールとなった。母に黙ってTitansに参加した。
  • Superboy(スーパーボーイ、コナー・ケント)
  • スーパーマンの遺伝子と人間の遺伝子を組み合わせて作られたクローン。本作で人間の遺伝子の持ち主が明らかになる。
  • Kid Flash(キッド・フラッシュ、バート・アレン)
  • 以前はImpulse(インパルス)というヒーロー名を名乗っていたが、本作で改名。Flash(フラッシュ)として活躍するバリー・アレンの息子である。未来から現在に送られてきた。
  • Raven (レイブン、レイチェル・ロス)
  • 人間の母と悪魔Trigonの間の娘。本作の少し前に存在が消滅していたようだが、悪魔Trigonを崇拝する宗教団体により復活させられる。


若手ヒーローとはいっても少し年齢層に違いがあるらしく、サイボーグ、スターファイアー、ビーストボーイの三人が年上メンバーとして他のメンバーを指導するという形になります。とはいっても、部活の先輩後輩のような厳しい上下関係があるわけでもなく。わちゃわちゃやっているうちに年上も年下もなくなってくるのは、まあ、当然ですね。

この巻では主に
・チームの結成
・宗教団体からのレイブンの救出
・Deathstroke(デスストローク)との戦い

が語られます。チームの結成において、大人のヒーローの中でWonder Woman(ワンダーウーマン)だけはワンダーガールがチームに加わるのに反対していました。この件については下の方のネタバレを含む感想で書きたいと思います。

暗殺者として働くデスストロークとの戦いについては、2巻以降も続いていく展開になると思うのですが、彼の息子Jerichoと娘のRoseが以前はTeen Titansと共に戦っていたということが語られます。Jerichoは戦いの中で死ぬことになり、Roseは父と共に活動するようになっていきます。Roseとデスストロークのやり取りを見ていると、エキセントリックなご家族ですね――という感想になってしまうのですが、息子を失った父の悲嘆が妙な形で娘に向かっているように見えます。若手ヒーローたちと同様、デスストロークにもうまく大切なものを失った悲しみを昇華していってほしいものです。

以下、ネタバレを含む感想です。主に、ワンダーガールがTeen Titansに入るのを反対するワンダーウーマンについて。

 


上にも書いたように、大人のヒーローたちはおおむね若手ヒーローたちがチームを組むことに賛成しています。
唯一、明確に反対するのがワンダーウーマンです。

正直、気持ちは分かります。ワンダーウーマンにとっての流れをまとめてみると、
・初代ワンダーガールのドナ・トロイは戦いで死んだ
・ワンダーウーマンはそもそもキャシー・サンズマークのお母さんの友達である
・キャシーはお母さんに何も告げず、勝手に家を出てTeen Titansの活動に参加している

という感じです。これは反対するわ……と思いました。ワンダーウーマンがキャシーに向かって、

"IF YOU NEED DIRECTION, I WANT YOU TO COME BACK TO THEMYSCIRA. TRAIN WITH ARTEMIS."

「もし指導が必要なら、セミッシラ島に帰ってほしい。アルテミスと訓練してほしい」
というのですが、やっぱり安全なところにいてほしいのですよね。

とはいえ、若手ヒーローたちには理解しあえる友達が必要なのも確かです。他のヒーローたちともいろいろあり、最終的にワンダーウーマンもキャシーがTeen Titansに入ることを承諾するのですが、若手の成長を見守るのも大変だなと思いました。