2020年9月18日金曜日

Secret Six (2014-2016) Vol. 1-2 感想

  Gail Simone氏のSecret Sixは以前読んだシリーズ(感想はこちら)の後、New52期に新しいシリーズが連載されています。単行本が2巻出ていますので読んでみました。


【基本情報】
Written by: Gail Simone
Art by: Dale Eaglesham, Ken Lashley
Cover by: Dale Eaglesham
発行年 2016年

公式サイトはこちら。



 前シリーズでの感想を読んだ方は薄々お気づきだと思いますが、筆者は前シリーズのレギュラーメンバーの中でScandal Savageが一番好きでした。というわけで、今シリーズでも彼女が活躍しているに違いない! と読み始めたわけですが……、

 

 まさかの、Scandal Savageゲストキャラクター化。いや、ゲスト出演というには登場回数が多いかもしれませんし登場するときにはキーパーソンとなっているところはあるのですが。

 前シリーズで登場した恋人たちとは仲良くしているらしい、という描写があったのが救いでした。

 

 このシリーズではCatman (キャットマン、トーマス・ブレイク)が主役になります。チームメンバーも大幅に入れ替わり、新メンバーとしてはBig Shot (正体は意外な人物)、Ventriloquist、Porcelain、Strixが入ってきます。

 VentriloquistはGail Simone氏のBatgirl誌(感想はこちら)にも登場していた人形遣いですし、StrixもBatgirl誌にちらちら登場していた梟の法廷メンバーですから、お気に入りのキャラクターをここでも使ってみたということかもしれません。

 

 前シリーズでチームの常識人だったDeadshot、Scandal Savage、Baneがいなくなった結果、話はよりシュールな展開を見せるようになります。随所に挿入されるギャグに笑いつつ楽しんでいくのが良い作品です。

 

 とはいっても、ヒーローともヴィランとも言い難い立ち位置のキャラクターが自分や仲間のために頑張る姿を描く、というテーマは前シリーズと共通していますので、読んでいると確実にチームメンバーに愛着が湧く一冊です。

 特にStrixに関して、BatigirlやBirds of Preyで描かれてきた彼女の物語に決着がついて落ち着くところに落ち着いたので良かったと思います。

 

 残念なのは、ゲスト的に登場するヒーローの出し方がいまいちなところです。このシリーズはあくまでSecret Sixが主役です。そのため事件を解決するのは最終的にはSecret Sixでなければなりません。というわけで、ゲスト的に登場するヒーローにあまり本質的な事件の解決をさせるわけにはいかない――という理屈はもちろん分かりますが、活躍させないにしてもそれなりにヒーローに花を持たせた引っ込ませ方にしてほしかったなと思います。前シリーズでのHuntress (ハントレス、ヘレナ・ベルティネリ)の扱いはそういうところが上手かったと思うのですけれど。