2019年11月23日土曜日

Female Furies (2019-) 感想

 DCコミックスのヒーロー漫画における最大級の悪役ともいえるDarkseid(ダークサイド)ですが、彼に従う女性戦士軍団Female Furiesを主役にした全6話のミニシリーズが発売されていましたので読んでみました。
 
【基本情報】
Writer: Cecil Castellucci
Artist: Adriana Melo
Cover by: Mitch Gerads, Dan Panosian, Nicola Scott, Walter Simonson
発行年 2019年

公式サイトはこちら。



 Derkseidのために働く戦士として育てられたFemale Furies。しかし、彼女たちが住むApokolipsは女性を正当に評価する社会ではなかった。それを当然のこととしていた彼女たちだったが、やがて自分たちが不当に貶められていることに気づくのだった――というのがあらすじです。
 
 この作品を読もうかどうしようか、と迷っている人にお伝えします。セクハラ描写(※マイルドな表現にしています)がきついので、それを乗り越えて読める人向けです。
 
 以下、ネタバレを含む感想です。
 

 
 
 上に書いた「セクハラ描写」というのは本当にマイルドな言い方でして、読んでいて「昭和の会社のような闇」とか「芸能界だと今でもこうした闇があるらしい(詳しくは知りませんが)」とか「女性の権利拡大運動は絶対的に必要」とか、そんなフレーズが頭の片隅に浮かんでくる作品です。

 そういった描写がきついのは3話までなので、そこまで乗り切れば後はそれほど辛い思いをせずに読むことができます。作者はきっとこれを、希望のある作品として描いたのだろうと思います。
 
 とはいっても。
 セクハラ(※マイルドな表現)の被害者が被害を訴えても、加害者が権力もあり立派な人である(と他の人には思われている)と周りの人に被害を受けたこと自体が信じてもらえない、というあたりの描写はリアルで読んでいて辛かったです。

 加害者が他の人には良い人然として振舞い、特定の誰かにだけはやたらと強く当たる――みたいなタイプですと、被害者は周りの人の理解が得られないので孤立していってしまうのですよね……と、現実に置き換えて読みながら落ちこむタイプの作品でした。
 
 ラストは確かに、ハッピーエンドなのですけれども。物語の中で失われたものが戻るわけではないので、ハッピーエンドとは言い切れないという読後感でした。