2019年11月14日木曜日

Convergence: Batgirl 感想

 Convergenceと名のついたシリーズは、独特の世界観のもとに作られています。簡単に説明しますと、
・各地の町がドームで覆われ、外部との連絡が遮断される
・やがて各地の町同士で戦うように仕向けられ、勝者の町の人々は助かる(ようだ)

というものです。何でそんなことになるのか良く分からないと思った方、正直筆者にも良く分かっていません。ただ、この設定を踏まえることで終末を強く意識した物語が描かれることになります。今回読んだConvergence: Batgirlは、かつてバットガールを務めたStephanie Brown(ステファニー・ブラウン)とCassandra Cain(カサンドラ・ケイン)に、Red Robinとして活躍するTim Drake(ティム・ドレイク)を加えた3人を中心に描いています。

【基本情報】
Writer: Alisa Kwitney
Artists: Mark Pennington, Rick Leonardi
Cover by: Dan Green, Rick Leonardi
発行年 2015年

公式サイトはこちら (#1)。



この作品では、ステファニー、カサンドラ、ティムの三人はゴッサム市のドーム内にいて他のヒーローたちとは連絡が取れていないようです。各メンバーの設定をまとめると以下のようになります。

ステファニー・ブラウン:ヒーローとしての活動をやめてしばらく経っている。戦う以外の敵のやり過ごし方を身に着けている。
カサンドラ・カイン:ヒーローBlack Batとして活動を続けている。
ティム・ドレイク:ヒーローRed Robinとして活動を続けている。かつてはステファニーと付き合っていたが、彼女がヒーローをやめてからは関係を解消した。

この設定で、なぜかステファニーが町を代表して他の町の代表と戦うことになってしまった――というのが物語のあらすじになります。

結果として、ステファニーは「カサンドラやティムの方が代表にふさわしいのに」と悩み、さらにティムとの恋愛関係も引きずりながらあれこれ考えることになります。サブタイトルが"The Love Song of Stephanie Brown"ですし、作者としては恋愛問題の方が主題だったのかもしれません。

ティムのステファニーへの対応はひどい――のですが、若いから仕方ないかなと思える部分もあり。終末を迎えた世界を舞台に、若者たちの繊細な心の揺れが描かれた作品だと思います。