2019年3月16日土曜日

Batman: Gordon of Gotham 感想

 レニー・モントーヤが登場している"Batman: Gordon of Gotham"を読みました。ゴッサム市警とゴードン本部長を中心にしたミニシリーズ、BATMAN: GORDON OF GOTHAM、 BATMAN: GCPD #1-4、BATMAN: GORDON'S LAWの3本を収録した単行本 (TPB)になります。

【基本情報】
Writers: Chuck Dixon, Dennis O'Neil
Artists: Klaus Janson, Dick Giordano, Bill Sienkiewicz, Jim Aparo
Cover: Klaus Janson
発行年 2014年

公式サイトはこちら


単行本として発売されたのは2014年ですが、作品が連載されていたのは1990年代なので設定は古めです。レニーはHarvey Bullockとコンビを組んでゴッサム市警に勤めています。

ストーリーは大きく分けて、
・ゴッサム市の銀行が襲われる話
・レニーの誘拐事件と連続殺人が並行して起きる話
・若き日のゴードンの行動が現在に還ってくる話

の3本です。レニーは2番目の誘拐事件の話で活躍しますが、それについてはネタバレを含む感想のほうで書きます。

レニー以外のところですと、3本目の話で描かれた若き日のゴードン刑事の姿が印象に残りました。ゴードン刑事、同僚刑事が容疑者に不必要な暴力をふるっているのを見逃さず上に報告していたようです。素晴らしい。でもこういう人は集団に居づらくなるだろうなと思っていたら、やっぱり居づらくなっていました。
それと同時期に家庭のほうでも妻のバーバラのことをあまり省みなかったり、不妊治療に積極的に見えないと妻から怒られたりします。このあたり「ああ、辛いね……」という気持ちで読みました。

結局ゴードンは若いころに勤めていた警察署からゴッサム市警に異動になります。たぶん、上げている実績からすると事実上の左遷だったのだろうと思います。が、最終的には本部長にまでなったのですからそれはそれで良かったのかもしれません。

以下、ネタバレを含む感想です。

***ここからネタバレ***

この本に描かれているレニーは全体的に性格がおとなしめです。Bullockと組んでいる頃の初期のレニーは本当に優等生の刑事ですよね。……と思って読んでいたら、後年のレニーの姿につながっていきそうなエピソードがでてきました。

レニーはブロックの強引な捜査手法に嫌気がさしてパートナー解消を上司に頼み、パートナーではなくなります。その後とある国の大使夫人を守るために夫人の格好をして囮になったところ、テロ組織に誘拐されます。
レニーはずっと動けない状態で、ブロックを思って泣いている姿が描かれます。このままお姫様状態でブロックの助けを待つのかな? と思っていたら、かなり強引な方法で脱出し、自力で帰還しました。

その後病院に運ばれてバロックに言ったことがこちらです。

"BEING A COP'S NOT AS HIGH-MINDED AS I THOGHT IT WAS. YOU'RE THE KIND OF COP GOTHAM NEEDS. IF YOU DON'T WANT ME BACK AS A PARTNER I'LL UNDERSTAND."


「警官でいることって、私が以前考えていたみたいに高潔なことじゃない。あなたはゴッサムが必要とするタイプの警官。もしあなたが私がパートナーに戻ることを望まなくても、理解できる」

ブロックはパートナーにレニーを望んでいるので二人は再びパートナーになりますが、後年の違法捜査スレスレ感のあるレニー・モントーヤ刑事はこのあたりから生まれてきたのだなと納得できました。