2019年3月30日土曜日

Poison Ivy: Cycle of Life and Death 感想

 元・植物学者で諸事情により特殊能力を得てしまい、ヴィラン(敵役)になったPoison Ivyを主役にしたミニシリーズを読んでみました。ヴィランに分類される彼女ですが、「植物大好き」というポイントを押さえておけば行動の理由が分かりやすいところがいいですね。

【基本情報】
Writer: Amy Chu
Artists: Ethan Van Sciver, Robson Rocha, Clay Mann, Various
Cover by: Clay Mann
発行年 2016年

公式サイトはこちら。



元々は植物学者だったポイズン・アイビーは、ある時ゴッサム植物公園の科学者として採用される。アイビーはそこで過去を問わず、現在の研究を評価してくれる同僚に出会い、彼女とともに植物と人間のDNAを持つ存在を産みだす研究に邁進していた。ところが同僚が殺され、さらに次々と殺人事件が起きる。一方、二人の研究の成果である子供たちも誕生して――
、というのがあらすじです。

Harley QuinnやCatwomanといった、Gotham City Sirens (感想はこちら)の時の友達から、植物学の研究をしていた時代の元同僚のSwamp Thing、さらにポイズン・アイビーの子供たちまでが登場する賑やかなお話になっています。
見どころは人に頼りながら事件を解決していくポイズン・アイビーだと思います。子供たちを支えてくれる同僚も登場し(殺される人とは別人)、人間も捨てたものじゃないなと言う気分になります。

以下、ネタバレを含む感想です。

***ここからネタバレ***

仲間なんていらないと言っていたポイズン・アイビーが、殺される同僚をはじめとした仲間といる心地よさを感じる話です。

序盤、勤務先にハーレイが押し掛けてきたのを無理やり追い出し彼女を怒らせて、「私は一人でいい」と思っていたポイズン・アイビーですが、彼女を今回の勤務に採用してくれた同僚のことを思い出し「彼女さえいればいい」と思いなおします。

元々植物学者になりたかったポイズン・アイビーですから、過去を問わずに研究職に採用してくれたということは感謝してもしきれないのでしょうね。
そんな同僚が殺され、さらに二人で研究していた成果の一つが奪われるという事態になります。一方で植物と人間のDNAを持つ子供たちも生まれてきます。

てんやわんやのポイズン・アイビーがここで頼るのがCatwomanです。そもそもポイズン・アイビーはハーレイ、キャットウーマンと3人で撮った写真を部屋に飾っていて、3人で暮らしていた時代のことも悪くはなかったと思っている様子です。キャットウーマンもその写真を見て喜んでいたので、Gotham City Sirensの同窓会を見ているような気持になりました。

一方でもう一人、ポイズン・アイビーのことを信じて支えてくれる同僚が登場します。彼は子育てに悩むポイズン・アイビーのサポートをしてくれます。研究の結果首尾よく子供を誕生させることができた彼女でしたが、子育てに関してはあまり考えていなかったようで子供たちといろいろとぶつかり合います。そんな中、同僚の彼がうまく橋渡しをしてくれている様子は見ていてほっとさせられます。
子供たちが急成長すぎてポイズン・アイビーの母親としての成長の方が追い付かないという展開になり、最終的には共通の敵と戦うことで心を通わせるのですが、もう少しこの家族の様子を見てみたいと思わせるお話でした。


……という、凄惨なことが起きながらもハートウォーミングなお話なのですが、ラストがとても不穏です。これは何か別のエピソードの布石なのでしょうか。