映画「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey」公開に合わせて電子版で発行されたBirds of Prey: Murder and Mysteryを読みました。1999-2009年の間連載されていたBirds of Preyシリーズの中の、56-67話をまとめた一冊になります。
Written by: Gail Simone
Art by: Ed Benesm, Michael Golden, Alex Lei, Cliff Richards
発行年 2020年 (連載されていたのは2003年頃)
公式サイトはこちら。
表紙はこんな感じです。Oracle (後ろ)とBlack Canary (右手前)、Huntress(左手前)の三人が揃う表紙になっています。
この単行本にも収録されている56-59話については、以前こちらの記事 に感想を書きました。もともとOracle (オラクル、バーバラ・ゴードン)とBlack Canary (ブラックキャナリー、ダイナ・ランス)の二人でスタートしたチームBirds of Preyでしたが、ある事件でダイナが予想外のピンチに陥ったためオラクルはもう一人の女性ヒーロー、Huntress(ハントレス、ヘレナ・ベルティネリ)に助けを求めます。
ハントレスの手助けでダイナも救出され事件も解決してめでたしめでたし――というのが59話までの展開でした。
ということで、この後3人のチームになったのだろうと思っていたのですが、違っていたようです。
どうもしばらく、ダイナとバーバラが二人でごたごたしていたらしく、そのごたごたが描かれているのが60話からになります。
まず衝撃の展開として、ダイナを解雇すると言い渡すバーバラ。雇用関係だったの? ……というのはともかくとして。
ダイナは十分な能力を持ちながら、情に流されて自分の危険を顧みないところがあるのでもう辞めさせたい、というのがオラクルの主張です。それに反発するダイナ。揉める二人でしたが、最終的にはバーバラが引いてダイナは残ることになります。
その後、ダイナは自分に格闘技を教えてくれた先生の死期が近いということで香港に向かいます。実はDCコミックス界随一の暗殺者Lady Shiva(レディ・シヴァ)も同じ先生に師事していたらしく、ばったり出会う二人。死期の近い先生がどういうわけかわざわざ殺され、ダイナとシヴァは仇を討とうとするのだったが――というのが主なあらすじになっています。
ダイナがシヴァと珍道中を展開している裏でバーバラがピンチに陥っていたり、後々二つのエピソードがつながっていったりといろいろあるのですが、作品の見どころは
・ダイナとシヴァの奇妙な友情
・ハントレスの仕事師ぶり
の3点だと思います。ダイナとバーバラの友情については、ダイナをやめさせようとする展開のところで存分に味わうことができます。
ダイナとシヴァは先生の仇を討つために行動を共にするのですが、シヴァが「私が死んだら私が身に着けてきた格闘術は消えてなくなってしまう」と伝統工芸の職人のようなことを言い出し、ダイナに自分の後継者になるよう迫るという展開が見られます。
2007年のBlack Canary誌(感想はこちら)で、ダイナはシヴァの娘Sinを引き取って育てているのですが、この辺りでの二人の友情がそういう関係に発展していった模様です。なお、本作に登場する別の暗殺者Cheshireの子供ともダイナは接点があって懐かれていたそうで。暗殺者の子供との付き合いがうまい人なんでしょうか、ダイナ。
そして忘れてはいけないのがハントレスです。すぐにBirds of Preyの正式メンバーになるわけではないのですが、時折登場しては的確にBirds of Preyを助けていきます。3人目としてメンバー入りするのも分かりますね。
総じて、女性キャラクター同士の交流が見どころの一冊でした。バーバラやダイナ、ヘレナ、それにレディ・シヴァのファンの方におすすめの一冊です。