2020年12月27日日曜日

Wonder Woman (2016-) Vol. 2: Love is a Battlefield

※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。


  Rebirth期Wonder Woman誌、 ライターがG. Willow Wilsonに交代してからの2冊目を読みました。セミッシラ島、とオリュンポスに起きた異変を明らかにするため、Wonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)の冒険の旅は続きます。

 

【基本情報】
Written by: Steve Orlando, G. Willow Wilson
Art by: Xermanico, Ronan Cliquet, Tom Derenick, Cary Nord
発行年 2020年


公式サイトはこちら。



 セミッシラ島とオリュンポスに何か異変が起きたらしく、古代ギリシアの神々やペガサスたちが人間界に来てしまうという現象が発生しあちこちで騒ぎが起きる。ダイアナは巻き起こる問題に対処するのだったが、事態の解決の糸口はペガサスたちと仲良くなったウェイトレス、Maggie (マギー)がアンティオペの剣を見つけるという意外な形でもたらされた。アンティオペの剣はダイアナたち一同をアプロディテとヘルメスの子、Atlantiades (アトランティアデス)の元へと導くのだった。アトランティアデスはその権能に基づき、人々を解放し自分の心に素直に生きるように促していた。しかしそのことがさらなる混乱を招いているのだった――というのがあらすじです。

 

 印象的な登場人物が二人います。あらすじにもあげたマギーとアトランティアデスです。ウェイトレスのマギーは「自分の人生は普通で退屈なことばかり」と思っているようなのですが、レストランにペガサスやミノタウルスが来ても親切に接してくれますしワンダーウーマンと冒険の旅に出ても腹が座っていますし。あまり普通の人生には収まらないタイプのように見えます。今までチャンスに恵まれなかっただけかもしれません。

 

 マギーがアンティオペ(このアンティオペはアマゾン族の一人で、セミッシラ島を出てBana-Mighdallと呼ばれるアマゾン族の始祖になった人だと思います)の剣を見つける前半にアクションが集中し、アトランティアデスが登場する後半はアクションというよりは論争メインという印象でした。

 

 この論争の中身がかなり興味深いものでした。話の本筋にはあまり関係ないのかさらっと流されている印象なのですが、「人にとって自由とは何か?」ということが語られます。世間のしがらみとか、仕事の都合とか、そんなことは無視して思うようにいきたいとは誰しも一度は思うことですが、自分が果たすべき責任をすべて放り投げてしまうことまで人は望んでいるのか、どうか。考えさせられる論争でした。