2020年7月5日日曜日

Secret Six (2006) Vol. 1: Villains United 感想

※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。



Gail Simone氏が描く、ヴィランたち6人のチームSecret Sixの活躍を描くシリーズの第一巻を読んでみました。この本の続きにあたるはずのVol. 2にワンダーウーマンとアルテミスがゲスト出演するエピソードがありまして、実はそちらの方をかなり前に買っていたのですが、主人公チームのことを全く分からないで読むのはさすがに無理がありました。というわけでまずVol. 1から読んでみています。すると、魅力的な女性キャラクターがここにもいました。
 
【基本情報】
Writer: Gail Simone
Artists: Various, Dale Eaglesham, Jimmy Palmiotti, Bradley Walker
Cover by: J.G. Jones
発行年 2015年 (連載されていたのは2006年)

公式サイトはこちら。




 ヒーローたちの何人かがヴィランを洗脳したことが明らかになったIdentity Crisis (感想はこちら)事件の後、ヴィランたちはヒーローたちに対抗するためチームを組むことを考えるようになった。中心になったLex LuthorはSeret Society of Super Villainsを組織する。
 しかし、様々な理由から彼の組織に入ろうとしないヴィランたちもいた。そんなヴィランたち6人は謎の男Mockingbirdに集められ、Seret Society of Super Villainsに対抗するよう脅迫されるのだったが――
 
 というのがあらすじです。
 あらすじを見ればわかるように、主役チームSecret Sixはヒーローでもなく、一流のヴィランチームというわけでもなく、隙間産業的なチームになっています。
 初期メンバーは以下の6人です。メンバーの入れ替わりは頻繁にあるようで、この巻の中でもメンバーが入れ替わります。
 
 ・Catman (キャットマン、トーマス・ブレイク):三流ヴィランと目されていたがライオンと生きているうちに生き方を変えたらしく、ヒーロー的な生き方を志すようになる。レックスのチームに入らなかったのは個人的な恨みから。チームが戦う時は、現場のリーダーになることが多い。
 
 ・Deadshot(デッドショット、フロイド・ロートン):暗殺者。主に銃を使う。娘を人質に取られMockingbirdに従う。
 
 ・Cheshire(チェシャ、Jade Nguyen):暗殺者。娘を人質に取られMockingbirdに従う。
 
 ・Ragdoll (ラグドール、Peter Merkel Jr.):手術を繰り返し、関節をあらゆる方向に動かせるようになった。生きていくために必要な薬を得るため、Mockingbirdに従う。
 
 ・Parademon (パラデーモン):DC世界でも最大クラスの敵、Darkseidが支配するApokolipsの戦士だったが逃げ出した。なぜかRagdollを崇拝し、彼を守るために全力を尽くしている。
 
 ・Scandal Savage(スキャンダル・サヴェッジ):不死の存在でもあり、人類で最初の殺人を犯したCainとも同一視されるVandal Savageと人間の女性の間の娘。母を人質に取られ、Mockingbirdに従う。チームの方針の大枠を決めたり、経理事務を請け負ったりしている。
 
 
 メンバーの紹介を見ても分かる通り、ヴィランと言えばヴィランなのだろうけれども損得次第で割とどちらにも動きそうな、中途半端なポジションが魅力のチームです。
 中でもキャットマンとデッドショットの人間臭さは特筆に値します。

 レックスの組織と戦ったのち、Mockingbirdはいなくなってしまうので彼らがチームを組む意義もなくなるのですが、彼らはそれでもチームとして行動することを選びます。恐らく、
 
 ・チームメンバーがそれなりに信頼のおける相手だと分かったから
 ・チームで行動し、誰かの依頼を解決したほうがお金が稼げるから
 
 ということだと思うのですが、友情と打算とが絡み合ってたまに喧嘩しつつやっていくチームというのは面白いなと思いました。
 
 さて、この巻の最後のエピソードではスキャンダル・サヴェッジの父、Vandal Savageが登場します。そもそもこの人、子供とか家庭とか欲しかったんだろうか……と思っていたのですが、どうも妻を溺愛しているようで娘のスキャンダルのことも大切に思っているようです。……意外でした。
 
 そして、娘には孫を産んでほしいと思っているのですが、娘はレズビアンなので(恋人もこの巻に出てきます)、誰でもいいから適当な男を捕まえて孫を産めと言い募る始末。
 ……Final Crisis: Revelations (感想はこちら)や、The Question: Pipeline (感想はこちら)の時の、人間という存在をはるかに超えた悪魔のようだったVandal Savageはどこにいったんだというギャップが強くありました。何だろうこの「困ったお父さんですね」としかいいようのない感じ。
 大真面目な人が演じているコントを見ているようでとても楽しめました。