2020年8月26日水曜日

Justice League of America (2017-2018) Vol. 3: Panic in the Microverse 感想

※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。

  Batman (バットマン、ブルース・ウェイン)がリーダー、Black Canary (ブラックキャナリー、ダイナ・ランス)やKiller Frost (キラーフロスト、ケイトリン・スノー)がメンバーにいるJustice League of Americaの3巻目は、Microverseと呼ばれる極小世界での冒険物語です。

 

【基本情報】
Written by: Steve Orlando
Art by: Various, Felipe Watanabe, Julio Ferreira, Ivan Reis
Cover by: Ivan Reis
発行年 2018年

公式サイトはこちら。



 この巻は、チームのメンバーの一人The Atom(アトム)として活躍するRyan Choiにスポットライトが当たります。

 もともと彼は小さくなれるヒーロー、アトムとして活躍していたRay Palmer(レイ・パルマ―)教授のティーチングアシスタントでした。しかし教授が突然行方不明になったことから、教授の残した「小さくなれる能力を持つスーツ」を着て教授の行方の手掛かりを探し始めます。そしてヒーローとしても活動するようになっていたのでした。……というわけで、Ryan Choiにとっては教授の行方を探すというのが現在の第一の使命になっています。

 そんなおり、教授の手がかりらしきシグナルを検出したため彼はMicroverseと呼ばれる極小の世界に飛び込んでいこうとします。その際にJustice League of Americaのメンバーに協力を求め、バットマンは快く産生したのでした。

 とはいっても、全員が留守にするわけにはいかないようです。Microverseに行くメンバーはバットマン、Ryan、Lobo (ロボ)、キラーフロストの4人です。彼らはMicroverseに向かい、その世界に凶悪なエネルギーが吹き荒れていることを知るのでした……というのがあらすじになっています。

 

 ヒーローものというよりは冒険譚という趣のある一冊でした。バトルシーンもあるのですが、異世界を堪能することができたという印象です。

 

 この本で特筆すべきは、なんといってもRyan Choiの格好良さでしょう。今までやや地味な印象のあった彼ですが、自分の周りの人々を助けようという精神に満ちていることがしっかりと描かれています。

 もともと1巻や2巻で、キラーフロストの病気を助けようと頑張っていた彼の姿は印象的でしたが、この巻では異変に苦しむMicroverseの人々と、師匠であるパルマー教授を助けようと奮闘する彼の姿が見られます。

 

 また、随所に挿入されるのがキラーフロストとの相思相愛ぶりです。キラーフロストもまた、Ryanのために頑張ります。もうこの二人、付き合っていると言ってもいいのでは。

 アメコミのキャラクターは好きになってからベッドインまでがやたらに早いという印象がありますが、奥手で慎ましいカップルになるのかもしれません。

 

 それにしても、パルマー教授。Microverseの異変を察知してそちらの世界に向かった――のは、まあいいとして。

 仕事に夢中にあるあまり、別れた妻からは「あなたは仕事と結婚した」なんて言われた、という部分を読むとアイデンティティクライシス(感想はこちら)の読者としては「もうちょっと結婚相手を大切にしてあげて」という気持ちになってしまいますね。