2020年6月10日水曜日

Justice League of America (2017-2018) Vol. 2: Curse of the Kingbutcher 感想

※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。

 Black Canary(ブラックキャナリー、Dinah Lance (ダイナ・ランス))が参加しているJustice League of Americaの第二巻を読んでみました。
 
【基本情報】
  • Writer: Steve Orlando
  • Artists: Jamal Campbell, Andrew T MacDonald, Felipe Watanabe, Scott Hanna
  • Cover by: Felipe Watanabe
  • 発行年 2017年
公式サイトはこちら。



・神ではなく、人間のチームとする。そして、人々のロールモデルになれるようにする。
・一度過ちを犯した人であってもチャンスを与えられるようにする。
・オープンなチームとし、人々が基地に来てヒーローと触れ合えるようにする。

 というコンセプトのもとにバットマンが結成したJustice League of Americaですが、この2巻ではバットマンと若手ヒーロー、The Ray (レイ、Raymond Terrill)との対立が目立ちます。
 
 もともと1巻でも「オープンなチーム」と言いながら自分だけは人々の前に姿を現さない、と掲げたコンセプトと行動の間に矛盾があったバットマン。
 この2巻ではチームにとっての最も重要なはずの「過ちを犯した人にチャンスを与える」というコンセプトが揺らぎます。
 
 ある島で見つかった、Maksonという男。この島は様々なレーダーの探査を逃れ、恐竜が存在する島として現代に残っていた。彼はある富豪の家に生まれていたが、幼いころに飛行機事故でこの地に不時着していたのだ。Justice League of Americaは彼を助け、彼に第二の人生を歩ませようとするのだが――というのが、この巻に収録されている前半のエピソードになっています。
 
 若手ヒーロー、レイはMaksonのことをすぐに信頼し彼を全面的にサポートしようとしますが、バットマンは彼が何か良からぬことを考えているのではないかと疑います。そんなバットマンに、チームのコンセプトに合わないと反発するレイ。
 バットマンと付き合いの長いブラックキャナリーやVixen(ビクセン、マリ・マッケイブ)は何となく彼の考え方を理解しているので、彼女たちがバットマンとレイの間を取り持つサポートに回ります。こういうところを読んでいると、バットマンは若手とのコミュニケーションという点では本当にいまいちだなあ、と思わざるを得ません。愛嬌と言えば愛嬌でしょうか。 
 
 そしてバットマンとレイはもやもやを抱えたまま後半のエピソードに突入していきます。後半ではレイの生まれ育った町が舞台になります。その町では最近、人々が夢の中で自分の望みを言うと起きたらかなっているという怪奇現象が発生しているのでした。しかし、Kingbutcherという怪人が現れ、望みがかなった現実を破壊しているという問題が生まれます。
 レイは人々の望みがかなったままでいるよう奮闘するのですが、自分の母親が望んでいたことを知り絶望します。そこからどのようにレイが立ち直っていくかが見どころです。
 
 レイというキャラクターはこのシリーズで初めて見たのですが、繊細なところがいい若手ヒーローですね。
 前巻で敵として登場したものの、Justice League of AmericaにスカウトされたXenosと友人になっているのも可愛らしいです。
 
 また、チームのもう一人の若手ヒーロー、The Atom (アトム、Ryan Choi)は主にKiller Frost(キラーフロスト、ケイトリン・スノー)の病気を治す方法を探るのに奔走しています。キラーフロストは冷気で戦うことができるのですが、どうも彼女は病気らしく(冷気の能力も病気由来のようです)彼女の治療の方法を探っています。アトムもキラーフロストも本業は科学者ですので気が合うらしく、いろいろな手を調べてみる二人が可愛いです。このキラーフロストの病気の話はチームの戦いとは別のサイドストーリーとして進行していますので、いずれ本筋に絡んでくるのかなと思います。
 
 全般的に、若手ヒーローの優しさがいいチームだなと思うのでした。