2019年12月18日水曜日

Raven (2016-2017) 感想

 Raven (2016-2017)を読みました。以前読んだ、Raven: Daughter of Darkness(感想はこちら)の前日譚になっています。

【基本情報】
Writer: Marv Wolfman
Artists: Ruy Jose, Diogenes Neves, Alisson Borges
Cover by: Alisson Borges
発行年 2017年

公式サイトはこちら。


 ティーンエイジャーのヒーローチーム、Teen Titansの一員として活躍していたRaven (レイブン、レイチェル・ロス)だったが、事情によりTeen Titansが活動中止となり居場所を失う。レイブンは母の姉妹であるアリス叔母さんの一家に身を寄せ、普通の高校生として暮らそうとするのだった。しかし、町の人たちが次々に行方不明になる事件が起き――というのがあらすじです。
 
 
 以前読んだRaven: Daughter of Darknessと完全に話がつながっているぞ……と思ったら、ライターが同じ人でした。違うタイトルのシリーズになっているものの、事実上の続きものですね。
 まずこの作品でレイブンが叔母さんたちの一家で暮らし学校にも通い新しい生活を始める姿を描き、それからRaven: Daughter of Darknessで彼女の過去を描くという流れになっていたようです。筆者は逆の順番で読んでしまいましたが、ライターの意図通りに読んだ方が話が分かりやすいのかもしれません。
 
 
 新生活を始めたばかりのレイブンに対する、周りの人の優しさが印象的でした。レイブンはこれまで普通の暮らしをしたことがないために戸惑うことも多いのですが、何とかやっていけているのは周りの人の優しさによるところが大きいです。
 
 そして、今回現れる敵はレイブン一人で戦うにはかなり強大な敵として描かれています。レイブンは父である悪魔Trigonの血を引いており、彼女が怒りに飲み込まれてしまうとTrigonの力を解放してしまいます。一方、彼女が力を出し切らなければ敵に勝つことはできない――と、綱渡りの戦いを強いられるレイブンの姿が見どころです。
 
 以下、ネタバレを含む感想です。


 
 敵と戦うレイブンをサポートする叔母さんたち家族の姿が印象的でした。レイブンはこのエピソードで「Teen Titansのメンバーであるレイブン」だと皆に知られてしまうのですが(これについてはコミックの最後の方で何とかします)、結果として彼女の家族が彼女を強力にサポートするというシチュエーションが生まれています。 
 これはベタと言えばベタな展開です。とはいっても、まだ来たばかりのレイブンをここまで信頼して助けてくれる人たちがいるというのは心が温まる流れでした。
 
 レイブンは「両親の事情で特殊な教団のもとで育ち、一般社会にはほとんどなじみがない」という設定です。彼女がヒーローで父親が悪魔だから何となく流してしまうものの、リアルに考えるとかなりハードな設定です。また、現実社会にもそうした事情を抱えている子供たちはいます。
 
 そうした事情を抱える彼女を、叔母さんたちが温かく迎え入れるというのは読んでいて安心できていいなと思いました。 
 
 レイブンが叔母さんたち一家と一緒に暮らしているという設定は、このシリーズと先述したRaven: Daughter of Darknessのシリーズにしかないようです。要するにMarv Wolfman氏がライターを務めるシリーズでしか叔母さんたち一家は描かれていないようなのです。
 今後、他のライターが手掛ける作品でもレイブンはこの家に同居しているとして描かれるといいなと思うのでした。