2021年5月9日日曜日

Batgirl (2016-) Vol. 7: Oracle Rising 感想

※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。


  2016年から連載の始まったBatgirl誌のVol. 7を読みました。この本には、

・Batgirl(バットガール、バーバラ・ゴードン)が自分の持つ情報をすべて持つ敵、Oracleと戦う話 (イベント: Year of the Villains関連)

・バットガールがファンタジー作家の造り上げた世界Unearthに行き、最近何かと一緒に行動していたJason Bardへの愛を自覚する話


 の2つのエピソードが収録されています。


【基本情報】
Writer: Cecil Castellucci
Art by: Carmine Di Giandomenico
発行年 2020年

公式サイトはこちら。


 まず第二のエピソードについて触れたいのですが、

 Jason Bardはやめておけ、バーバラ!

 ……と言いたいです。本当に。彼はもともと警察に勤めていて、Batman Eternal (感想はこちら)の時はバーバラの父であるゴードン本部長の冤罪をそのままに見過ごすという行動に走りました。当然、バーバラは彼に激怒していたわけですが……。

 

 2016年のBatgirl誌ではVol. 6あたりから彼は登場し何かとバーバラの周りをちょろちょろしていたのですが……。

 いくらいい人に見えても、付き合うのはやめておけバーバラ。バーバラがJason Bardを許しても筆者は許しません。

 という気持ちになって読んでいました。二人がどうなるのかはVol. 8での展開次第でしょうか。

 

 さて、このVol. 7でメインになるのはOracleとの戦いの方です。

 もともと、バーバラが下半身不随だったころ、情報収集と分析に特化したヒーローとして活躍していた時期に名乗っていたヒーロー名が"Oracle"でした。

 しかし今回の敵のOracleは、2011年からのBatgirl誌のVol. 1 (感想はこちら)で登場した、バーバラの持つ情報をすべて持ちながら暴走してしまったプログラム――に、ロボットとしての肉体が与えられたものになります。

 バーバラはあくまでプログラムを書いただけのはずなので、ロボットにしたのは誰なのか謎ですが……。

 

 ともかくそのOracleにレックス・ルーサーが力を貸し、バーバラを倒そうとするのがあらすじになっています。

 

 この頃レックス・ルーサーはヒーローたちの邪魔をするためあちこちのヴィラン(敵役)たちに力を貸していました。このストーリーの冒頭で登場したヴィランはKiller Moth (キラーモス)です。キラーモスと言えば、バーバラの初登場時 (感想はこちら)のヴィランで、Batgirl: Year One (感想はこちら)にも登場するものの悪人になりきれない性格を発揮してしまい「足を洗った方がいいんじゃないかな……」と思わせたものでした。

 

 今回はだいぶパワーアップしていて登場したので、「もしやキラーモスがダークホースとして活躍するのでは!?」と期待したのですがそんなことはありませんでした。残念です。

 

 なお、余談ですがDCコミックス社の女性ヒーローたちが高校生になって頑張る短編アニメ"DC Super Hero Girls"にもキラーモスがバットガールに執着しているエピソードがあります。

 

 


 以下、ネタバレを含む感想です。


***ここからネタバレ*** 

 Oracleがバーバラを倒そうとする動機が「自分を捨てたバーバラへの恨みを晴らすため」なので、読んでいてだんだん可哀想になってきました。もとはといえば、バーバラが作ったプログラムなのも確かですから。

 

 バーバラが何とか、Oracleが成仏(に近い概念の何か)できるような方法で事態を解決してくれないか……と思って読んでいたのですが、「Oracleに作戦を読まれないようにいつもの行動パターンと全然違うことをする」という戦略をとったせいか、全く成仏しそうにない形での解決になりました。

 

 またOracleが再登場することになったらさらに恨みをこじらせて厄介なことになっていそうなので、バーバラには早めに対策を考えておいてほしいものです。