※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
Justice League (2018-)のVol. 5を読みました。この巻では、創成神たるPerpetua (パーペチュア)が着々とLex Luthor (レックス・ルーサー)と共に計画を進め、ヒーローたちは力を合わせてその打開を試みます。
Writers: Scott Snyder, James Tynion IV
Art by: Javi Fernandez, Jorge Jimenez, Howard Porter, Bruno Redondo
発行年 2020年
公式サイトはこちら。
5巻まで読んでわかったことですが、実はこのJustice Leagueで描かれた戦いはDark Nights: Death Metalの前哨戦だったようです。というわけで、ストーリーは「続きはDark Nights: Death Metalへ!」となって終わります。
うーん、そういうことだったらJustice Leagueとレックス・ルーサーとの戦いは3冊くらいに収めて、1-2巻くらいではJustice Leagueが格好良く敵を倒すエピソードを入れておいて欲しかったな、もちろんその勝利がのちのちルーサーに利用されることになるとかそういう展開じゃなくて単純な勝利エピソードを……というのが正直な感想でした。
5巻読み終わってみると「局所的なところではJustice Leagueが勝った部分もありましたが、結局はレックス・ルーサーにほぼすべて先を越されていたのでした」となってしまうのは辛いものがあります。
過去や未来のヒーローたちが協力してくれたり、ヒーローたちがみんなで手をつないで奇跡を起こそうとするプリキュア劇場版を思い出させる印象的なシーンはあるのですが、何をやったところで結局ダメというラストになってしまったのが残念でした。
また、レックス・ルーサーの手駒としてずっと動いていたCheetah (チーター、バーバラ・アン・ミネルヴァ)について。シリーズを通して、彼女は古代ギリシアの神々に抱く恨みつらみをベースに行動します。これ自体はとても良かったと思うので、「神を殺すために怪物であり続ける」みたいな感じの彼女を主役にしたストーリーを描いたら面白いのでは――と思いました。
さらに以下、Hawkgirl (ホークガール、ケンドラ・ソーンダーズ)とMartian Manhunter (マーシャン・マンハンター)についての感想です。話のネタバレも含みます。
***ここからネタバレ***
ホークガールは、この物語の中で一貫してキーパーソンでした。彼女の羽が物語の鍵であるTotalityと繋がっていることはずっと語られていました。そのため、彼女のパワーをここぞという場面で使う必要があったのですが、……Vol. 4でMartian Manhunter (マーシャン・マンハンター)をレックス・ルーサーに奪われた彼女は激高し、勝手にレックスを殺そうと暴走した挙句作戦の失敗を招くのでした――という展開になります。
正直に言って、ここはがっかりでした。Vol. 4でホークガールがMera (メラ)に、
"I HAVE FOUGHT IN ALMOST EVERY WAR IN HUMAN HISTORY."
「私は人類の歴史の中のほとんどすべての戦争を戦ってきた」
と言っていたのは何だったのか。
ホークガールは何度も何度も転生して、そのたびにハードな戦いを経験し、どの人生でもHawkman (ホークマン)との大恋愛を経験していたはずです。今回の戦いがこれまでと比べ物にならないほど大変なものだったとしても、周りが見えなくなって勝手な行動をとるかなあ? と疑問でした。
マーシャン・マンハンターとの恋愛がいつもと一味違うので盛り上がってしまったのでしょうか。それもホークマンの立つ瀬がないですね。
Dark Nights: Death Metalに繋げる以上、Justice Legueの作戦が失敗するのは仕方がないのです。とはいえ、ホークガールをもうちょっとどうにかできなかったのだろうかと思います。
また、レックス・ルーサーに囚われたマーシャン・マンハンターを助けるために彼とホークガールの子供であるShayne君が自らを犠牲にする展開になります。子供を犠牲にして親が助かるという展開でいいのだろうか、と思いました。
ShayneはVol. 4でヒーローたちが訪れた異世界からやって来た子供なので、二人の子とは言っても突然現れた存在です。そしてなぜ普通の世界で暮らせているのかも謎です。とはいえ、故郷が滅びた時も妻と子供を失い自分だけが助かったマーシャン・マンハンターが、自分を助けるために子供がいなくなったと聞けば心が動かないはずはない――と思うのですが、次から次へと緊迫した状況が起きるためその辺りについては特に語られないままになってしまいました。
大事件が次々起きるのはスリリングですが、読者の気持ちが追いつけない部分があるなと思いました。