※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
Justice League (2018-)のVol. 4を読みました。この巻では、
・世界の創成神にして邪悪な存在であるPerpetua (パーペチュア)の脅威に対抗するため、Sixth Dimensionに向かいそこで戦うJustice League (ジャスティス・リーグ)
・一方で着々と計画を進めるLex Luthor (レックス・ルーサー)
の姿が描かれています。
Writers: Jorge Jimenez, Scott Snyder
Art by: Francis Manapul, Jorge Jimenez, Daniel Sampere, Bruno Redondo, Javier Fernandez
発行年 2019年
公式サイトはこちら。
Vol. 3までの展開で、レックス・ルーサーはこの世界の邪悪な創成神であるパーペチュアを手に入れました。後は彼女を起こすのみです。一方、それを止めなければならないジャスティス・リーグはSixth Dimensionという世界に助けを求めます。なんと、そこには悪い人間のいない理想的な世界が広がっていたのですが――というところから物語は始まります。
なんでも、パーペチュアにはWorld Forger, Monitor, Anti-Monitorという3人の子供たちがいるそうです。かつてパーペチュアをSouce Wallの向こうに閉じ込めたのはこの3人でした。Sixth Dimensionでジャスティス・リーグが出会ったのはWorld Forgerで、この人が考えていたパーペチュアへの対抗手段が、「悪い人間を排除し、良い人間のみの世界にする」というものでした。
しかしジャスティス・リーグはこれに反発し、World Forgerと戦うことになります。
World Forgerの「理想的な世界」に登場するLois Lane (ロイス・レーン)の姿が印象的でした。Superman (スーパーマン、クラーク・ケント)の妻であり、Superboy (スーパーボーイ、ジョン・ケント)の母である彼女は通常夫のことをとても愛していると描かれているわけですが、この世界では夫のことを憎んでいるようにすら見えます。
それは何でかと言うと、夫の理想についていった結果息子が死んだから、それも何度も何度も――というわけで「そりゃ夫を否定するわ」という気持ちになりました。
この「理想的な世界」に登場する人たちは全般的にフレンドリーすぎて違和感が強いのですが、このロイス・レーンだけはとても人間的に見えました。
ちなみにHawkgirl (ホークガール)は、前巻でMartian Manhunter (マーシャン・マンハンター)との距離が近づきつつも、「彼は亡くなった奥さんのことを愛しているから……」という感じだったのですが「理想的な世界」で未来の自分たちが結婚して子供もいることを見せられ一気に関係が進展しています。
いろいろな障害に気後れしていたカップルが、子供ができたことをきっかけに一気に話を進めていくような感じでしょうか。
ちなみに二人の間の子、Shayne君ですが「理想的な世界」を離れ現代に一緒にくっついてきます。とても可愛いらしいです。
以下、ネタバレを含む感想です。主に終盤の展開について。
***ここからネタバレ***
最終盤、ジャスティス・リーグだけではなくWorld Forger、Monitor、Anti-Monitorの三兄弟、それに様々な世界のヒーローの力を結集してパーペチュアに対抗するぞ――という流れになっている中、リーグの議長であるはずのマーシャン・マンハンターは一人リーグを離れ、レックス・ルーサーを探します。
それというのも、マーシャン・マンハンターはレックスの中の善良な部分を信じており彼を助けようとしていたのでした――という話なのですが、結局はその善意もレックスに利用されることになります。
最初にこの展開を読んだ時、甘いと思いましたし議長なのに何をやっているのか――と思ったのですが、そもそもこの巻の前半で
「悪い人間を排除し良い人間だけの世界を作る」
という考え方に反発したのはリーグのほぼ全員なのですよね。レックスの中の善性を信じたのも、この反発と一貫していると言えます。そう考えると、リーグの皆が思っていることを体現した行動とも言えるわけで、やはり彼は議長にふさわしいのか――と思いました。
とはいえ、リーグの議長としてはやっぱり軽率だったと思うのですけどね。ホークガールが怒るのも当然と言えましょう。