※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
2016年から始まったRebirth期Wonder Woman誌のVol. 5を読みました。Rebirth期Wonder Woman誌は、Greg Rucka氏がメインライターを務めたVol. 1~Vol. 4 (感想はこちら)を読んだ後しばらく遠ざかっていましたが、久しぶりに読んでみました。
【基本情報】
Writers: Collin Kelly, Michael Moreci, Vita Ayala, Tim Seeley, Shea Fontana, Jackson Lanzing
Artists: David Lafuente, Stephanie Hans, Mirka Andolfo, Claire Roe, Christian Duce Fernandez, David Messina
Cover by: Jenny Frison
発行年 2018年
公式サイトはこちら。
Greg Rucka氏のストーリーは4巻に及ぶ長編でしたが、この巻に収録されているのは中編1本といくつかの短編です。ライターも多いですね。調べてみると6巻から8巻はまた一人のライターが担当しているようで、おそらくは連続したエピソードになっていると思います。この巻は長編と長編の間に、少し毛色の変わった物語を見せようとしたのかもしれません。
さて。
印象的だったのは、中編で語られたワンダーウーマン(ダイアナ)とEtta Candy(エッタ・キャンディ)との友情でした。エッタは米軍の所属で、ダイアナがアメリカに来て早くにできた友達です。ダイアナの友人であることで彼女が危機に陥ることもしばしばですが、それにダイアナが怒り、またダイアナのピンチを察知したエッタがダイアナを救う――という、良い関係になっています。
ところどころにさしはさまれるダイアナの幼少期も印象的でした。戦士の島であるセミッシラ島で生まれ育ったダイアナですが、この物語で描かれている彼女は、もともと戦士に向いていたわけではなかったのかもしれません。
大人たち、とりわけ母であるヒッポリタ女王が自分に期待していることを知ってそれに自分を合わせていく幼少期のダイアナの姿は可哀想としか言えません。そんな経験を持つダイアナが、今度は子供たち自身の好きなものを肯定していく姿には安堵させられます。
グレッグ・ルッカ氏のエピソードで描かれたダイアナ像は、セミッシラ島からアメリカに来てアメリカに馴染んでいくまでを語っており、また神々が登場することもあって神秘的な印象が強いものでした。
一方このVol. 5では、一個人としてのダイアナの姿を描くことでダイアナという人物をより身近な存在として感じさせているように思いました。