※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。
Gail Simone氏の描くSecret Sixの第3巻を読みました。前巻では、戦いの中で相当な無茶をしたScandal Savage(スキャンダル・サベッジ)にBane(ベイン)が「お前はもう戦うな」と通告するという衝撃のラストを迎えていました。
Gail Simone氏の描くSecret Sixの第3巻を読みました。前巻では、戦いの中で相当な無茶をしたScandal Savage(スキャンダル・サベッジ)にBane(ベイン)が「お前はもう戦うな」と通告するという衝撃のラストを迎えていました。
というわけでこの3巻ではスキャンダルがチームから外されているのか……と覚悟して読み始めたところ、彼女は特にチームから離れることもなく、とはいっても前線には出ないようにしているっぽいという微妙なポジションでした。
【基本情報】
Writer: John Ostrander, Gail Simone
Artists: Various, , J. Calafiore
Cover by: Daniel Luvisi
発行年 2015年 (連載されていたのは2009年ごろ)
公式サイトはこちら。
バットマンが死んだらしいという情報が流れて、もともとはヒーローを目指していたらしいDeatshot(デッドショット)が過去を回想したり、彼がもともと所属していたチームであるSuicide Squad(スーサイト・スクワッド)との戦いのエピソードがあったりなぜか西部劇風にSecret Sixが戦うエピソードが収録されたりしています。
この巻で特筆すべきは、チームにBlack Aliceが加入したことでしょうか。結果としてSecret Sixというチーム名に7人のメンバーがいることになりますがそれはいいとして。
彼女はまだ若いですが、いろいろな人の特殊能力を盗むことができるらしく、例えば悪魔であるエトリガンの能力を使って悪魔化したり、巨人であるジャイガンタの能力を使って巨大化したりすることができます。便利なのですが能力を使いこなせるわけではないのでいろいろと不完全な印象を受けます。情緒的にもあまり安定はしていないようですね。
彼女は
・お金を稼ぐ必要がある
・Ragdollに一目ぼれ
というわけでチームに加わります。
移動能力も持っているので便利――ですが、彼女の存在は今後もトラブルのもとになりそうです。
そして、この巻で最も印象的だったのはCatman (キャットマン、トーマス・ブレイク)がかつて暗殺者のCheshire (チェシャ)との間にもうけた子供を奪われるエピソードでした。以下、ネタバレを含む感想です。
キャットマンとチェシャの子は、チェシャが一人で育てています。キャットマンの養育放棄……というわけではなく、もともとチェシャは自分がひとりで育てられる子供が欲しかったようです。そんなチェシャの家に謎の部隊が押し入り、二人の子供が敵の手に落ちます。キャットマンはチームをやめたといって息子を助けに行くのですが、そこで回想されるキャットマンの子供時代が悲しいです。
どうしてアメコミのヴィラン(悪役)の親は大体虐待めいた子育てをしているのか。やはり虐待されるとヴィランになりやすくなってしまうのか。なんてことを考えさせました。
Vol. 1ではスキャンダル・サヴェッジの父であるヴァンダル・サヴェッジの子育ての様子が描かれていましたが、あれもひどいものだったとはいえ妻や娘への愛情は感じられていた分まだましかも、という気持ちになりました。ヴァンダル・サヴェッジは人類最初の殺人を犯したカインともいわれる絶対的な悪としてDCコミックスの世界では描かれています。それよりも邪悪に見えるキャットマンの父とは何なのだろう……と思います。
キャットマン自身、息子への愛は間違いなくあります。とはいえ、息子のことはずっとチェシャに任せきりで特に子育ての様子をチェックしている雰囲気もないわけで。彼自身もまた、子供にどう接するのがいいか分からない父親なのかな、とも思いました。