2011年から始まったNew52期Aquaman誌のVol. 7を読みました。ライターのやりたいことは分かるが詰めが甘くていまいち乗れない……という感想になる作品でした。
Rebirth期Titans (感想はこちら)でレギュラーメンバーになる Tempest (テンペスト、ガース)が初めてNew52 Aquaman誌に登場したのは嬉しかったのですが。
Art by: Various, Alec Morgan, Jesús Merino, Trevor McCarthy
Cover by: Trevor McCarthy
Written by: Cullen Bunn
公式サイトはこちら。
この巻は、Aquaman (アクアマン、アーサー)がアトランティスから追われているところから始まります。アトランティスのリーダーとしてアクアマンを追うように指示を出しているのは彼の最愛の恋人であるはずのメラで、いったい何が起きているのかと読者は読み進めて行くことになります。
次第に分かってくるのは、どうも謎の世界からアトランティスにじわじわと謎の力が侵入しているらしく、アクアマンはその侵入に対応するためメラにアトランティスの王権を委ね、調査に奔走していたらしいということです。
そして謎の世界はじつはかつて追われたアトランティス人たちであり、単純にその世界を滅ぼすと無辜の民も死んでしまうので苦悩するアクアマン――という姿が描かれます。
というあらすじを読むと、いったいメラはどうしてアクアマンに対して突然そんな態度になったのか、そしてアクアマンはうまい問題解決策を思いつくのか――と、サスペンスに満ちたお話になるはずに思えるのですが。
冒頭に書いたように、詰めが甘いのです。
メラに関しては、実はメラではなく双子の姉妹であるSiren (サイレン)が彼女に化けていて本当のメラは囚われていたことが明らかになります。ここまではまだいいとして。
やがて本当のメラが自力で脱出することで事態は一気に好転します。が、この時の描写がかなり楽勝な感じで脱出したようにしか見えないので「何でもっと早く脱出しなかったの?」という疑問を抑えることができません。囚われた時に何らかのダメージを受けてその回復に時間がかかったとか、その程度でいいので何か理由が欲しかったと思います。メラの脱出のタイミングがご都合主義にしか見えません。
また、初対面の時にガースのことを知らないと言っていたアクアマンがいつの間にかガースの名前を知っていることになっているあたり、ライターが数話前に書いたことを覚えていないのではという疑惑が生まれてしまいます。
作者の思い描いたストーリーをきちんと描いていたら面白い一冊になったんだろうなあ、という惜しい一冊でした。