2022年5月25日水曜日

Aquaman (2011-2016) Vol. 6: Maelstrom 感想 -王家の掟-

 ※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。

 2011年から始まったNew52期Aquaman誌のVol. 6を読みました。この巻にはなんと! メラがXebelでいかに育ち、いかにAquaman (アクアマン、アーサー・カリー)と出会い、いかに恋に落ちたかが語られています!

 そして死んだと思われていたアーサーの母が実は……というエピソードに、王家の大変さを感じる一冊です。


【基本情報】
Art by: Various, Sean Parsons, Paul Pelletier
Cover by: Sean Parsons, Paul Pelletier
Written by: Jeff Parker
発行年 2016年


公式サイトはこちら。



 この巻ではまずメラの過去だけではなくアーサーの幼少期も語られ、やがて死んだはずのアーサーの母が実は生きているのでは……という展開になっていきます。

 地上人の父を持つアーサーを王として快く思わないアトランティス人も当然いますが、彼らの主張の中には「アーサーが王になってから地震が増えた」というものがありました。これはアトランティスの国土がアーサーを王とは認めていないため、ではなぜそうなのか……ということを追及していくと、実はアーサーの母でありアトランティスの女王であったAtlanna (アトランナ)が生きていたのだった……ということに突き当たる展開になります。

 読んで強く感じたのが、アトランティスにしろ、Xebelにしろ、王家の人は政治的な要請に阻まれて中々自由な人生を送れないのだなということでした。これはMera: Queen of Atlantis (感想はこちら)でも感じたことですが、この巻では王家の人間は軍の有力者と結婚することで政治を安定化させる必要があることが語られています。

 そうした結婚が権力基盤を安定化させることは分かりますが、21世紀のアメリカで物語られるコミックのストーリー、ましてや、現在のお話としてはどうなのか……というところはありますね。実際、アーサーの母であるアトランナも結婚生活がうまくいかなかったためアトランティスを極秘裏に離れたようです。

 アーサーとメラは自由恋愛に基づく結婚になるわけで、その辺りにも新しい可能性を感じさせる(当然、アトランティス人には快く思わない人もいる)ということになるのだろうなと思いました。

 

 

 なお、Vol. 5の感想で「アクアマンに王位を追われたOrmの異母姉妹にあたるTula」が、なぜアクアマンとメラに忠誠を尽くしているのか――と書きましたが、この巻でちらっと語られていました。アトランティスに平和をもたらすため、平和を希求するリーダーであるアーサーに期待しているそうです。人を見る目に間違いはなさそうですね。