2016年から始まったRebirth期のWonder Woman誌の最終盤の連載をまとめた単行本、Lords & Liarsを読みました。映画「ワンダーウーマン 1984」(公式サイトはこちら)に合わせた結果だと思うのですが、メインとなる敵役はMaxwell Lord (マクスウェル・ロード)です。
Vol. いくつという番号はありませんが、Rebirth期Wonder Womanの最終巻です。いつもならここで「単行本派にとって読む順番が分かりにくくなるんだから第何巻にあたるのか通し番号をつけてくれ」というところですが、この作品にはあまり言う気になりません。
というのも、一応Rebirth期に出版された作品ではあるもののこれまでのお話とは特に関係がないからです。アメリカにアマゾン族の大使館があるところなどはこれまでの経緯を踏まえているわけですが、Rebirth期のWonder Woman誌を全く読んでいない状態でいきなりこれを読んでも、問題なく楽しめると思います。映画でワンダーウーマンに興味を持った人が気軽に読みやすいコミックになるように制作されたのかもしれないですね。
Writer: Mariko Tamaki
Pencillers: Mikel Janin, Carlo Barberi, Steve Pugh, Rafa Sandoval
Inkers: Mikel Janin, Matt Santorelli, Steve Pugh, Jordi Tarragona
Colorists: Jordie Bellaire, Alejandro Sanchez, Romulo Fajardo Jr., Arif Prianto
Letterer: Pat Brosseau
Colection Cover Artists: David Marquez, Alejandro Sanchez
発行年 2021年
公式サイトはこちら。
かつてはスーパーマンを操ったこともある恐るべき存在、マクスウェル・ロードの能力と技術を流用した怪事件が次々に起きる。しかし彼は政府の監視下にあるため犯人ではあり得なかった。アメリカに暮らすWonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)ですら幻覚を見て人々を攻撃してしまう事態が起き、早急な解決のためダイアナはマクスウェル・ロードと協力した事態の解明にあたるのだったが――というのがあらすじです。
何と言っても、全く信用のできないマクスウェル・ロードとダイアナのコンビに漂う緊張感が魅力の一冊だと思います。一応ダイアナに協力しているマクスウェル・ロードですが、果たしていつ裏切るのか? というスリルとサスペンスに満ちている一冊だと思います。
この記事の冒頭に書いたようにこれまでのWonder Woman誌の物語とはあまり関連のない本作ですから、Wonder Womanの原書コミックとして最初に触れるにもいい一冊です。
以下、ネタバレを含む感想です。
事態が明らかになってみると、マクスウェル・ロードと娘のEmmaの親子の対立にダイアナと世界が巻き込まれた構図でした。
十代後半~二十代前半くらいにみえるエマですが、父親の能力を引き継いでいる一方で父親の陰謀により大量の薬を投与されて大変なことになっているようです。ダイアナはマクスウェル・ロードのことは見放しているように見えますが、娘のことは希望が持てると思っている様子で、彼女を保護してアマゾン族大使館に預けています。
……ダイアナさんがいろいろ大変な目に遭った人を助けた後、その人からちょっと目を放していたらいつの間にかヴィラン(敵役)になっていた人、何人かいるような気がしますがエマは大丈夫でしょうかね。父親がヴィランということで、若手ヒーローチーム(親がヴィランの人もそれなりにいる)に入ったら仲間がいるかもと思いますがはてさて……。