2011年から始まったNew52期Aquaman誌のVol. 5を読みました。
これまで読んだ巻ではAquaman (アクアマン、アーサー・カリー)の恋人であるMera (メラ)は海中のXebelという国出身で水を自在に操る強力なパワーを持つことは描かれていました。ただ正直な感想としてはあまりメラを個人として描く描写にはなっていないな……と感じていました。
ところがこの一冊ではメラとアクアマンが別行動をとっていることが多く、策士にして戦士であるメラの姿がしっかり描かれています。Wonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)と共闘する場面もありますよ。
Art by: Various, Sean Parsons, Paul Pelletier
Cover by: Sean Parsons, Paul Pelletier
Written by: Jeff Parker
発行年 2014年
公式サイトはこちら。
アトランティスを離れ、地上で学校の同窓会に出席したアクアマン。実はその間にアトランティスの神具であるトライデント (三叉の鉾)を奪われていたのだった。奪った人間たちの目的はアトランティスへと続く扉を開けることだったが、かつてアトランティスの王に封印された怪物たちを蘇らせてしまう。怪物たちと戦い、さらにはダイアナとも共闘するアクアマン。一方、メラはアトランティスで彼女の出自を快く思わない者たちに襲われるのだったが――というのがあらすじです。
メラはアクアマンの恋人であるためにアトランティスでは実質的にQueenと呼ばれる存在になります。Xebel出身である彼女のことを快く思わないアトランティスの人は当然いるわけですが、アクアマンが一緒にいるときは表立ってメラに反抗はしません。この巻ではメラがアクアマンと離れて一人で行動するため、襲われることになります。
襲われたメラがどう行動するか、アトランティス人でありながらメラの味方をするのは誰なのか――というのが見どころです。
以下、ネタバレを含む感想です。
以前読んだ、Mera: Queen of Atlantis (感想はこちら)を思い出させるお話でした。
この巻で描かれたエピソードでは、メラはアトランティス人の殺意と対峙しながらも正面切ってそれを問題にすることはせず、むしろ襲われたという事実を使って自分の立場を確立していきます。
そんなメラを助けるのがTulaです。彼女はアクアマンの異父兄弟であるOrmの異母姉妹――というややこしい関係の人ですが (要するにアクアマンとは血が繋がっていないのです)、アトランティスの精鋭舞台であるDriftのリーダーでもあります。
そしてOrmが王位を追われてアクアマンが王位についた後もDriftのリーダーとして王 (アクアマン)に忠誠を誓い、一方でOrmへの情も断ち切れない――という複雑な状態になっています。
複雑な状態になっているわりに少しずつしか登場しないので彼女が何を考えて行動を決めているかは分からないのですが、少なくともメラのことを助けたあたりアクアマンとメラへの忠誠は本当なのでしょうね。
Mera: Queen of Atlantisでも政治家としてのメラの姿とTulaとの友情が描かれていたのですが、この辺りの出来事にあの作品のベースがあったのだなと思える一冊でした。