【基本情報】
Writer: Ann Nocenti
Artists: Claude St. Aubin, Cliff Richards, Alex Sanchez, ChrisCross, Various
Cover by: David Finch
発行年 2014年
公式サイトはこちら。
Justice League とも協力するヒーロー、Katanaはある戦いで負けるが次回こそその敵を倒すためにジャパンタウンに潜入する。そこにはSword Clan(剣の一族)と名乗る、刀を持って戦うギャング集団がいるのだった。カタナは自分の持つ刀、Soultakerを求める彼らと戦う。一方、別の戦いでSoultakerに封じ込められていた死者の魂が外に逃げ出し、様々な事件を引き起こすのだった――というのがあらすじです。
初めに書いておきますと、この作品は作者の予定していたよりも早く終了せざるを得なかった作品のような気がします。というのも、作中で提示されている敵との戦いがまだ済んでいないところで、「カタナの戦いはまだまだ続く――」というような終わり方をしています。
エンディングがいきなり訪れたとしてもそれまでの過程を楽しめればいいという方向けです。
また、物語の中で結構残酷な描写も出てきます。
なお、この作品ではKatanaはタツ・ヤマシロではなくタツ・トロ (登呂さん?)と名乗っています。調べたところタツさんの旧姓らしいです。
上述した「New52期以前やRebirth期との設定の違い」ですが、
・タツの夫、Maseoは必ずしも善人ではなかった
・タツの夫の兄弟、Takeoも必ずしも悪人ではなかった
という点がまず挙げられます。筆者にとってはこれは結構ショックで、Maseoさんはいい人であってほしかったと思いました。
以下、ネタバレを含む感想です。
設定の違いはMaseo、Takeoの性格設定だけではなく、
・Maseoを殺したのはTakeoではなくタツだった(Takeoが襲撃した際にもみ合っていて殺してしまった)
という衝撃の過去も明かされます。さらに、
・カタナの持つSoultakerの中にMaseoの魂は封じられていたが、いつもカタナの呼びかけに答えていたのはMaseoではなく別の魂だった
という事実も明らかに。
……つまり、カタナさんが自分の夫だと思って話していた相手はずっと別人だったということになってしまうわけで、とても可哀そうな気持ちになりました。
New52期のBirds of Prey(感想はこちら)でカタナさんはレギュラーメンバーを務めていたのですが、
「あの人、刀の中にいる夫と話すってよく言ってるけど大丈夫?」
と他のチームメンバーにひそかに心配されているという、読んでいていたたまれない気持ちになる描写がありました。
もし「New52期のカタナは自分の夫と話しているつもりで全然別人と話しているという設定で行く」ということがBirds of Preyのライターにも共有されていたのなら、あのような描写になったのも理解はできます。できますが、筆者としては「カタナさんは本当に夫のMaseoと話している」という設定の方が好きですし、さらに言えばMaseoさんは善人であるほうが好きです。
というわけで、Rebirth期の設定の方が好きだなと思いながら読んでいました。
物語の中で、カタナに次いで魅力的な人物としてShunという女性が出てきます。彼女はSword Clanと関わってしまったことで辛酸を舐め、カタナに救い出されて少しずつ回復しながら彼らに復讐する時を待つ――という経過をたどっていきます。そして彼女の復讐がカタナとぶつかり合う時、別の事件が起きてうやむやになった挙句お話自体が唐突に終わってしまうという感じでしたので、いささか消化不良な印象を受けました。