2022年8月6日土曜日

Wonder Woman by George Perez Vol. 3 感想 -アマゾンの敵はアマゾン-

※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。 


 Wonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)の活躍を描くWonder Woman by Geroge PerezのVol. 3を読みました。表紙はこんな感じでJustice League Internationalのメンバーとダイアナがポーズを決めているところなので(下図)、

 


 

 JLIとの共闘がメインテーマなのかと思って読み始めました。が、意外なことに彼らとのエピソードは少しで、メインは

 

 ・ダイアナの投げ縄を狙うチーターとの戦い

 ・チーターに奪われた、ガイアのガードルを探すBana-Mighdall (バナ・マイダル)のアマゾン族とダイアナとの出会いと戦い

 でした。

 

【基本情報】
Written by: Cary Bates, J.M. DeMatteis, Keith Giffen, George Pérez
Art by: Various, Tom Grummett, Will Blyberg, Chris Marrinan
Cover by: George Pérez
発行年 2018年 (単行本の発行年。連載されていたのは1988年頃)


公式サイトはこちら。



 バナ・マイダルのアマゾン族は以前読んだWonder Woman: War of the Gods (感想はこちら)にも登場していたので、このジョージ・ペレズのシリーズでいずれ登場するのだろう……とは思っていましたが、意外と早い登場でした。

 

 それを言うとチーターも#7-#9 (感想はこちら)で初登場でしたがこの巻で再登場と、一度登場させたキャラクターにクールダウンの期間をしっかりおいてから再登場させるのがこのシリーズのやり方なのかもしれません。

 さて、バナ・マイダルのアマゾン族です。筆者はこの一人であるArtemis (アルテミス)が好きですが、彼女の初登場はWonder Woman by Mark Dodato (感想はこちら)ですのでまだまだ先です。

 この本に収録されたストーリーでは、ダイアナも知らなかったBana-Mighdallのアマゾン族が登場し、彼女たちの事情がそれなりに語られ、ダイアナと揉めるものの最終的な決着はうやむやになるという展開になっています。


 まず、バナ・マイダルのアマゾン族たちはアマゾン族の女王ヒッポリタの姉妹であるアンティオペに率いられてセミッシラを出た一族ということになっています。アンティオペはアテナの王テセウスと結婚しますが何者かに殺され、アテナに暮らしていたバナ・マイダルのアマゾン族たちは放浪の民となります。

 アマゾン族は戦士の一族ですのでその後は多くの戦争に(傭兵的な形で?)関り、暮らしてきました。今はエジプトの砂漠に隠れ住んでいるようです。

 

 そしてバナ・マイダルのアマゾン族たちはアマゾン族としての慣習を一部では維持しながらもかなり暴力的な存在となり、ダイアナの前に立ちふさがるのだった――という物語になっています。

 

 この「バナ・マイダルのアマゾン族たちが確かにアマゾン族でありながらダイアナにとっては信じられない文化を築いている」というのはリアルだなと思いました。元々はおなじ民族であっても、移住などで遠く離れるとその土地土地に合わせた文化になっていくのが自然ですよね。そんな中で、元々の共有していた文化がひょっこりとそのままに残されていると奇妙な気持ちになるものですが、この作品では「平和を愛する」という部分がバナ・マイダルのアマゾン族からはそっくり抜け落ちているのでダイアナにとってはショックが大きかったかもしれません。

 バナ・マイダルのアマゾン族たちですが、「アマゾン族(ダイアナ)の最大の敵はアマゾン族」というコンセプトで産み出されたのかなと思いました。この作品の終盤でダイアナがバナ・マイダルの最強の戦士である Shim'Tarと戦うシーンがあるのですが、Shim'Tarがこんな感じの鎧をつけていることもあって(下図)、「ワンダーウーマン vs メカワンダーウーマン」という趣があります。

 


 とはいえ、このShim'Tarはロボットではなく中に生身のアマゾン族が入っているはず――なのですが、 この作品で中に入っている人はWar of the Godsで中に入っていた人とは違いそうなのでWar of the Godsまでの間にバナ・マイダルのアマゾン族たちとはもう一悶着あるのかもしれません。