2022年7月17日日曜日

Wonder Woman : War of the Gods 感想 -Circeさん、一世一代の大勝負-

※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。 

 Wonder Woman : War of the Godsを読みました。現在少しずつ読んでいる、George Perezがメインライターを務めた時期のWonder Woman誌の最終盤にあたり、Suicide Squadなど他のコミックも巻き込んだ一大イベントになっています。

 というわけで、いきなり読むとやや分かりにくいところもあり、Perez期のWonder Woman誌を全部読んでからにした方が良かったかなあと思いました。とはいえそれを待っていると、いつになるか分からない気もしたのですよね。

  なお、最近出版されたTales from the Dark Multiverse: Wonder Woman: War of the Gods (2020-) #1 (感想はこちら)は、この作品を踏まえたパロディということになっています。

 ただ、こちらの本家War of the Godsは大長編ですし、一話完結のTales from the Dark Multiverseとはかなり違います。パロディと言われなければ分からないくらい印象が違う作品ですので、完全に別物と思った方が良いように思います。

 

【基本情報】
Written by: George Pérez
Art by: Various, Jill Thompson, Cynthia Martin, George Pérez
Cover by: George Pérez
発行年 2016年(連載されていたのは1992年頃)


公式サイトはこちら。


 この作品のメインの敵は魔女Circeさんです。ギリシア神話の女神、ヘカテの力をもとにダイアナを陥れようとするCirceさんは現在に至るまで――たとえば、つい最近のJustice League Dark (感想はこちら)でもダイアナを狙う厄介な敵の一人でした。

 本作ではこのCirceさんが様々な手練手管を駆使してダイアナ相手に全面戦争をしかけます。

 まず、ダイアナが生まれたセミッシラのアマゾン族とは別の部族であるBana-Mighdallのアマゾン族を操り、人間世界でのアマゾン族の評価を下げていきます。結果的に人間はアマゾン族を恐れ排除しようとするように。

 一方、ギリシア神話の神とローマ神話の神を戦わせ戦争状態に持ち込みます。

 

 そんなてんやわんやにWonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)が対応しようとしますが、周到に張り巡らされたCirceさんの作戦の前にダイアナも倒れます――と、真面目に怖いCirceさんがこの作品では描かれています。

 Batman (バットマン、ブルース・ウェイン)もかくやの用意周到ぶりです。筆者はこれまでの作品にCirceさんが登場するたびに「色々やっても詰めが甘いから失敗するんだろう」という視線で見ていたのですが、反省してCirceさんのことをちゃんと評価しなければならないという気持ちにさせられました。

 本作でCirceさんが失敗したのは、小さな違和感を見逃したことだけです(詰めが甘いといえば甘いですが……)。

 

 そしてエピローグでは、これまでずっとダイアナを慕ってきたVanessa Kapatelis (人間界でのダイアナの母のような存在だったJuliaの娘なので、ある意味ではダイアナの姉妹と言えます)が学校を卒業するのをはじめ、それぞれのキャラクターが新しい段階へと進んでいく姿が描かれます。

 これを読むと、やはり読む順番を間違えたかな、George PerezのWonder Woman誌の最後に読んだ方が良かったかなと思うのでした。