※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
Jessca Cruz (ジェシカ・クルズ)とSimon Baz (サイモン・バズ)、二人の新人グリーンランタンが活躍するシリーズの第8巻を読みました。この巻では、ジェシカが過去と戦うことになります。
【基本情報】
Art by: Roge Antonio, V Ken Marion, Ronan Cliquet
Cover by: Norm Rapmund, Brett Booth
発行年 2019年
公式サイトはこちら。
この巻には、
・Vol. 5に登場した闇の弁護士Singularity Jainのつくるブラックホールにジェシカが飲み込まれ、サイモンとJustice Leagueが彼女を助けるため頑張る話
・身に覚えのない罪でグリーンランタン本部(特にHal Jordan (ハル・ジョーダン))から追われるようになったジェシカの話
が収録されています。
ジェシカは、友達3人とハンティングに出かけたところ二人の犯罪者が死体を埋めているのを目撃してしまい、それを犯人たちにも見つかってしまって友達3人が殺されるというショッキングな体験をしています。そして4年間自分のアパートから一歩も外に出ないという生活を送るわけですが、実は犯人二人の顔を覚えていないようです。Singularity Jainから、その記憶を取り戻させると言われ了承するジェシカですが、その代償に彼女が産み出すブラックホールの中に飲み込まれることになります。
一方で、ジェシカが持つグリーンランタンの指輪はかつて「最初のグリーンランタンの指輪装着者」だったVolthoomと縁があったこともあり、それ自体が作り出す世界の中に誰かを閉じ込めるという邪悪なパワーを持っているらしく、ジェシカが飲み込まれたブラックホールの中に指輪が作る世界が出現することになります。
ジェシカのパートナー、サイモン・バズは単身ブラックホールの中に乗り込み、ジェシカを助けようとするのですが果たして助けられるのか――というのが見どころになっています。
以下、ネタバレを含む感想です。
サイモンが懸念しているのが何か、というのが興味深い一冊でした。ジェシカはショックのため、犯人たちの顔を覚えていません。しかし、顔を思い出してしまえば今度はジェシカが犯人たちを殺しに行きかねない、とくにVolthoomの魂の影響を受けた後では――ということで、ブラックホールの中でジェシカを説得します。
ブラックホールに入るときにはGreen Lanternの指輪は持てないそうなので、サイモンは生身です。生身で、ジェシカの気持ちは犯人たちへの復讐ではなく殺された友達への思いやりを選んだことを説きます。サイモンにとっては、ジェシカが復讐の道を選ぶことが最も気がかりだったのですね。
二人がパートナーとしてずっと組んできたからこそこの説得にも力がこもっているのだろうなと思いました。
ブラックホールから脱出する際にジェシカは意思の力で指輪の力を書き換えたらしく、これまでにない力を得ることになったようです。一方で、記憶のない状態で他の星の警官たちを傷つけてしまい今度はグリーンランタン本部から追われることになるのですが、この時もサイモンがジェシカを全力で守ろうとしている姿が印象的でした。格好いいぞサイモン。
ジェシカの濡れ衣が晴れたところで、物語は次の巻へと続いていきます。
ちなみに、犯人たちの顔を思い出したジェシカは警察に行くようです。ジェシカが初登場したJustice League誌の感想(こちら)で、「ジェシカは帰った後誰にも真相を話していないらしいけど友人たちはずっと行方不明扱いなの?」 といった感想を書きましたが、さすがに殺されたことは警察などに知らせていたようですね。ただ、犯人の顔を覚えていなかったのでそれは伝えていなかったと。今回の情報が犯人逮捕につながるといいのですが。