※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
Jessca Cruz (ジェシカ・クルズ)とSimon Baz (サイモン・バズ)、二人の新人グリーンランタンが活躍するシリーズの第7巻を読みました。なんと、6巻で出てきた「スーパーヒーロー専用出会い系アプリ」が話の本筋に大きく関わってきます。
Written by: Tim Seeley
Art by: Various, German Peralta, Carlo Barberi, Ronan Cliquet, Eduardo Pansica
Cover by: Brandon Peterson
発行年 2018年
公式サイトはこちら。
お話は大きく二つ、地球のスーパーヒーローたちの誘拐事件と過去のグリーンランタンの名誉を称える式典にジェシカとサイモンが招待される話に別れています。この本の主要なストーリーは、スーパーヒーローたちの誘拐事件の方ですね。
スーパーヒーローの誘拐――とはいっても、バットマンやスーパーマンのような大物ヒーローではなく、地域で活躍するローカルヒーローたちが姿を消していきます。なんでも、DCコミック世界にはこうしたローカルヒーローがたくさんいるようで災害の発生時などに活躍しているようです。確かに、スーパーヒーローに憧れた人がまず挑戦してみるにはいいポジションかもしれません。平和な町だったらそのままローカルヒーローとして生きていくことで皆に感謝されそうですし、平和でない町だったら凄いヒーローになっていくか、活動の中で殺されてしまうかということになりそうです。
6巻でサイモンがアプリを使って出会ったNight Pilotもさらわれたらしく、ジェシカとサイモンの二人は誘拐事件の解決に乗り出すことになります。
誘拐されたヒーローたちはみなアプリの利用者だったことからヒントを得て真相に迫っていくジェシカとサイモン、サイモンは特にNight Pilotを助けることに必死になります。かなり気に入った相手だったようです。そして無事に彼女を助け出し、彼女にもとても感謝される――のですが、なんと。その後別れてしまいます。そう聞いて驚くジェシカに、サイモンはこう告げます。
"I WAS CHEKING OF REASONS ON A LIST... VERONICA'S A SUPERHEROINE. SHE LIKES GOING AS FAST AS POSSIBLE. SHE'S MIDDLE EASTERN. SHE'S A MUSLIM. SHE'LL MAKE MY FAMILY HAPPY. MY SISTER. MY MOM."
「僕はリストにある理由をチェックしていってたんだ。ベロニカは女性スーパーヒーローで、可能な限り早くいくのが好きだ。彼女は中東出身で、イスラム教徒で。家族もきっと喜んでくれる。姉も、母も」
でもそういうことじゃないんだ――とサイモンはジェシカに話します。恋人は条件から探すものじゃない、ということだと思うのですが、そもそも出会い系アプリって条件にあった人を探すためのものでしょうし、現代的なお見合いだと考えれば条件を第一に選んでいってもいいのでは……結婚を考えるなら家族に気に入ってもらえるかも大事な要素でしょうし……と思いましたが、サイモンはこの辺りとても純粋なようです。
と、サイモンの活躍が印象的な一冊でしたがジェシカは要所で頑張っていました。また、過去のグリーンランタンの栄誉を称える式典では頑張って準備してきたスピーチが失敗し、しかもちっとも準備していなかったサイモンは成功し、ひどく落ち込むジェシカの姿が描かれています。こういう理不尽なことってあるよねえ、と共感できるシーンでした。
ちなみに、Vol. 6の感想で「なんで地球では難民を受け入れないのか」と言ったことを書きましたが、この巻での描写によると地球は辺境の地とみなされているようです。難民を受け入れられない未開の地扱いされているのでしょうか。その割にはグリーンランタンをたくさん輩出していますが。