※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
2006年からスタートしたシリーズ、Justice League of Americaの単行本、When Worlds Collideを読みました。実質Vol. 6にあたります。同時期に進行していた大型イベント、Final Crisisの影響を大きく受けているようです。
Written by: Len Wein, Dwayne McDuffie
Colorist: Shane Davis, Ed Benes, Peter Pantazis
Cover Color by: Alex Sinclair, Nei Ruffino, Hi-Fi , Peter Pantazis
Inker: Federico Dallocchio, Marco Rudy, Ed Benes, Don Ho, Jack Purcell, Ruy Jose, Rob Hunter, JP Mayer, Norm Rapmund, Mark Propst, Sandra Hope, Dan Green, Drew Geraci, John Dell
Letterer: Travis Lanham, Rob Leigh
Penciller: Jose Luis Soares Pinto, Federico Dallocchio, Marco Rudy, Shane Davis, Rags Morales, Ed Benes, Eddy Barrows, Ardian Syaf
発行年 2009年
公式サイトはこちら。
この巻には、
・かつてヒーローDr. Lightとして活動していたKimiyo Hoshiが力を取り戻し、再びヒーローとしての活動を始める話
・Justice League of America (JLA)のメンバーが次々いなくなるため、議長であるBlack Canary (ブラックキャナリー、ダイナ・ランス)がリーグの解散を決めるものの、残ったメンバーが頑張る話
の主として二つのエピソードが描かれています。そしてこの二つのエピソードの間で、Batman (バットマン、ブルース・ウェイン)が死亡しているようです。スーパーマン、ワンダーウーマンと並んでDCコミックス社のヒーローたちの代表ともいえるバットマンの死は、ダイナが下すJLAの解散に繋がっていきます。
そもそも、この辺りの展開はダイナがとても可哀想なのです。
- スーパーマン、ワンダーウーマン、バットマンの三人はダイナに黙ってチームの運営方針について話し合っていた。それに気づいたダイナは不快だった。
- バットマンの死亡後、ヒーローたちには不安感が広がる。そんな中、スーパーマンとワンダーウーマンはそれぞれが抱える事情で手一杯になり「必要な時には呼んでほしい」と言ってJLAを離れることにする。
- ダイナの夫であるGreen Arrow (グリーンアロー、オリバー・クィーン)は「今のJLAではだめだ」として、友人のGreen Lantern (グリーンランタン、ハル・ジョーダン)と共に別のヒーローチームを開始する。
- ダイナが弟のようにかわいがっているRed Arrow (レッドアロー、ロイ・ハーパー)はダイナの予想どおりHawkgirl (ホークガール、ケンドラ・ソーンダーズ)と破局し、失意のうちにチームを離れる。ケンドラは怪我によりチームを離脱。
……踏んだり蹴ったり、というくらいに色々なことが起きています。
正直に言って、スーパーマン、ワンダーウーマン、バットマンの三人がもっとダイナのリーダーシップを発揮しやすい環境を整えることを考えていたらもうちょっと何とかなったのではないかと思います。こそこそと三人だけでチームの方針を考えるのではなく、バットマンがいなくなって動揺が走っている状態のチームを後にするのではなく、もうちょっとダイナに寄り添ってあげてほしかったものです。
ダイナの夫であるオリバーも、JLAがだめなら自分たちが入って協力するという考えには至らないものなのか。スーパーマンたちと離れたところで活動したいということだったのでしょうか。
いずれにしても、ダイナは孤独感のただ中で一人リーグの解散を決めます。
そして、残ったメンバー ――これはリーグに残っているという意味でもありますし、生き残っているという意味でもあります――は何とかリーグを続けようと細々と活動します。メンバーは、
- Vixen (ビクセン、マリ・マッケイブ)
- Green Lantern (グリーンランタン、ジョン・スチュワート)
- Zatanna (ザターナ)
- Dr. Light (Dr.ライト、キミヨ・ホシ)
- Firestorm (ファイヤーストーム、Jason Rusch)
の5人です。Vol. 1から力に異変が起きていて、Vol. 5ではチームをやめるという展開になっていたビクセンが創立メンバーでは唯一残っているのがなんだか不思議ですね。
この5人は議長を決めずに活動を始めます。というのも、議長にふさわしいダイナに戻ってきてもらうため――ということだそうで、なんだか健気です。ダイナのことをちゃんと考えているのはこのメンバーなのではないでしょうか。
筆者としてはこの5人+ダイナのJLAの活躍を見たいところですが、単行本の次の巻 (実質Vol. 7)では表紙に載っているメンバーが大幅に変更になっているので、このメンバーでの活躍はあまり続かないのかもしれません。そうだとしたら、ちょっと残念です。