2021年12月5日日曜日

Green Lanterns (2016-) Vol. 9: Evil's Might 感想 -とてつもないセキュリティホール-

※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。

 Jessca Cruz (ジェシカ・クルズ)とSimon Baz (サイモン・バズ)、二人の新人グリーンランタンが活躍するシリーズの最終巻を読みました。これまでずっと二人にスポットライトが当たってきましたが、この巻では宇宙の警察的な存在であるグリーンランタン全体が危機に陥り、主に地球出身のグリーンランタンたちが皆で戦います。


【基本情報】
Written by: Dan Jurgens
Art by: Scott Hanna, Marco Santucci, Mike Perkins
Cover by: Mike Perkins
発行年 2019年

公式サイトはこちら。


 装着者が様々な力を操ることを可能にするグリーンランタンの指輪。それを作った一族であるGuardianの一人が殺される。また同時に、グリーンランタンと縁の深いある星への組織的な攻撃が確認された。事態を打開するため、グリーンランタンたちが集まり対応しようとするのだったがサイモンは指示を聞かず、勝手な行動をとってますます事態を混迷させるのだった――というのがあらすじです。

 

 グリーンランタンたちは事態を打開できるのか、サイモンは果たして裏切ったのか、というのが見どころになっています。

 

 以下、ネタバレを含む感想です。

 

 ***ここからネタバレ***

 

 事態の黒幕は、Cyborg Superman (サイボーグスーパーマン)でした。筆者はここで、Rebirth期Supergirl Vol. 1 (感想はこちら)に出てきたスーパーガールのお父さん!? と思ったのですが、あくまで別人のようでした。

 なんでもスーパーマンに負けて拘束されていたのですが、グリーンランタンの指輪のエネルギー源であるCentral Batteryに入り込むことでエネルギーチャージした指輪を操れるようになったようです。

 サイモンが指示を聞かずに勝手な行動をとっているように見えたのも、指輪を操られていたからでした。

 

 という真相がわかってからは、最近エネルギーチャージしていなかったHal Jordan (ハル・ジョーダン)と、他のメンバーは指輪の力を使わない形で頑張るということで事態の解決を目指すようになります。

 

 それにしてもとてつもないセキュリティホールですよねえ。グリーンランタンというシステムが始まってからたぶん数千年くらいは経過していると思うのですが、誰も気が付かなかった(もしくは、気が付いても攻略できなかった)セキュリティホール。サイボーグスーパーマンは実行力のあるアイディアマンかもしれません。

 

 グリーンランタンの皆で頑張ることで事件は解決するのですが、ジェシカ・クルズは他の星の人たちとふれあい、感謝される中で地球の外の広い世界を見てみたいと思うようになります――と、これは、地球から離れてGhost Sectorと呼ばれる地域の担当になるJustice League Odyssey (感想はこちら)へと繋がっていくのですね。

 ちなみにサイモンは地球に残りたいようで、コンビはここで解消となります。 

 

 シリーズ全体からすると、ジェシカとサイモンは地球の守護者から地球を含めたセクター2814全体へと活躍の場を広げてきたわけで、ジェシカが広い宇宙に飛び出したいと思うのは流れとして不自然ではありません。

 ただ、シリーズ全体で少しずつ経験を積み重ねた結果そう思うようになった――とは読めず、Vol. 9でいきなりそう思い始めたように読めてしまうのが少し残念です。

 

 とはいえ、ジェシカとサイモンに愛着がわく良いシリーズだったと思います。