※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
Infected (感想はこちら)、Batman/Superman Vol. 1 (感想はこちら)と、Batman who laughsに毒物を注入されて邪悪な存在になったヒーローたちの姿を読んできました。この一連のストーリーは、このHell Arisenで一応の終結となるようです。
Written by: Brian Michael Bendis, Scott Snyder, James Tynion IV
Art by: Jim Cheung, Steve Epting, Alex Maleev, Francis Manapul
発行年 2020年
公式サイトはこちら。
筆者は感染ヒーローたちの物語の続きとして読みましたが、この本自体はBatman who laughs とLex Luthor (レックス・ルーサー)の戦いを描くものです。邪悪な世界からやって来た存在であるBatman who laughsが感染ヒーローたちを手下にする一方、Justice League誌 (感想はこちら)で描かれていたようにルーサーは邪悪なる創成神Perpetua (パーペチュア)を目覚めさせ、着々と世界を支配するための計画を進めていきます。
そしてパーペチュアのもと、世界を悪で包むのはどちらかを決めるためBatman who laughsとレックス・ルーサーが激突するのがこの物語です。
というわけで。感染ヒーローたちについて、実はそんなに語られるわけではありません。
ヒーローたちを感染させることで味方につけるBatman who laughs (結局当てになるのはヒーローたちだと思っている)と、ヴィラン(悪役)たちにアドバイスすることで味方につけるレックス・ルーサー(結局当てになるのはヴィランたちだと思っている)の対立の構造で、ヒーロー vs ヴィランという形になっているのはうまい、と思いました。
ですが、感染ヒーローたちがレックス・ルーサーにより元に戻るという展開になってしまったのは残念です。ベタであろうとも、仲間たちや家族、友達の力で元に戻る展開をみたいなと思っていたので。
感染ヒーローたちの一人、Supergirl (スーパーガール、カーラ・ゾー・エル)はこのInfectedのエピソード前後も個人誌の連載が続いていた関係で、個人誌の方でInfectedにまつわるあれこれも語られていそうなので期待したいと思います。
さて。
感染ヒーローのことを置いておけば、この本の見どころはレックス・ルーサーの頑張りっぷりだと思います。目的は確かに邪悪です。
しかし、"Smartest Man Alive"でありながら、異星人であるSuperman (スーパーマン、クラーク・ケント)がいるような世界ではしかるべき喝采を受けることができない……というルーサーの言い分は、訴えてくるものがあります。
おそらく、「世の中不公平だ」というのがルーサーの本音でありましょう。ルーサー自身も類まれなる頭脳に恵まれているのですが、スーパーパワーを持って人々を助ける異星人や神話の神々の関係者にはそうそう敵わず、人間のちっぽけさを認識させられるだけだ、というルーサーの気持ちは分からないでもないです。
とはいえ、ルーサーは特にスーパーパワーを持たないでヒーロー活動をしているバットマンのことはどう思っているか良く分かりません。バットマンが不在で、レックス・ルーサーがJustice League入りするような世界だったら彼のプライドも満足したのかな、と思ったのでした。