2021年10月23日土曜日

Justice League of America (2006-2011): The Injustice League -ヴィランの生き方-

 ※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。

 2006年からスタートしたシリーズ、Justice League of Americaの単行本、The Injustice Leagueを読みました。この巻からAmazonやComixologyでは巻数表記が消えるのですが、実質Vol. 3です。連載されてからだいぶ時間が経って単行本を読んでいると、シリーズの何巻目にあたるかというのが分かりやすい方が絶対に便利なので巻数表記は必ずつけてほしいものです。
 
【基本情報】
Written by: Alan Burnett, Dwayne McDuffie
Inker: Victor Llamas, Norm Rapmund, Andy Lanning, Sandra Hope, Allan Jefferson, Ed Benes
Penciller: Allan Jefferson, Joe Benitez, Mike McKone, Ian Churchill, Ed Benes
発行年 2009年

公式サイトはこちら。



 この巻にもいくつかのエピソードが収録されているのですが、一番の主力エピソードはSuperman (スーパーマン、クラーク・ケント)の宿敵であるLex Luthor (レックス・ルーサー)が悪役チーム、Injustice League を結成してヒーローたちと戦うというものです。
 2018年からのJustice League誌(感想はこちら)でもルーサーが悪人チームを作っていたなと思って調べてみると、こうした悪人チームは1980年代の頃からすでに描かれていたみたいですね。確かに、ヒーローたちがチームを作るなら悪人たちもチームを組まなければいい戦いにはならないかもしれません。
 
 お話自体はヒーローチームと悪人チームの戦い、際立つルーサーのスーパーマン苛め――といったところなのですが、なんと、Black Canary (ブラックキャナリー、ダイナ・ランス)とGreen Arrow (グリーンアロー、オリバー・クィーン)の結婚前最後の独身時代を祝うパーティーで両チームの戦いは始まります。この本と同時期の連載作品を収録したGreen Arrow /Black Canary (感想はこちら)でも、二人の結婚式に悪人たちが乱入して大変なことになっていたのですが、なんかこの二人の結婚は呪われているのでしょうか。二人が穏やかに結婚して日々を送る可能性はないのでしょうか。
 
 さて、筆者が気になったのはInjustice Leagueの話の後に収録されていた短編です。
 
 これまでこのシリーズでは、ブラックキャナリーの弟分にあたる若手ヒーロー Red Arrow (レッドアロー、ロイ・ハーパー)とHawkgirl (ホークガール、ケンドラ・ソーンダーズ)との恋愛が描かれていました。
 ロイには、以前付き合っていたCheshire (チェシャ、 Jade Nguyen... ファミリーネームの発音が分かりません) との間にLian (リアン)という女の子がいて、ロイが育てています。
 リアンはチェシャと仲良しで、クリスマスといったイベント前には必ずチェシャから連絡があって3人で会っていました。……が、チェシャはヴィランでもあるのでルーサーのInjustice Leagueに入り、ヒーローたちとの戦いの後に行方が分からなくなっています。
 
 心配するロイのエピソードに重ねるようにして、かつて悪人としてロイたちと戦っていたものの今は普通の生活を送る人の姿が出てきます。
 長年続いているヒーローコミックを読んでいると、ヒーローがどれだけ悪人たちを捕まえてもまた彼らは犯罪の場に舞い戻ってくるというのが当たり前のように思えてしまいます。しかし悪人たちにも人生があって、中には改心して犯罪稼業から足を洗う人もいるのだなとしみじみできるお話でした。