※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
Vixen (ビクセン、マリ・マッケイブ)がアマンダ・ウォラー率いる決死部隊Suicide Squadに所属している時期のSuicide Squad誌第3巻を読みました。この本ではSuicide Squadをめぐる政治劇が語られています。
Suicide SquadはCheckmateという組織と合わせてTask Force Xと呼ばれているようなのですが、この巻でSuicide Squadの存在は公に知られるところになってしまいます。
Writer: John Ostrander
Cover by: Karl Kesel
発行年 2016年 (連載されていたのは1988-1989年頃)
公式サイトはこちら。
前巻に引き続き、さまざまなエピソードが散りばめられていますので、全体としてのあらすじは書きにくいです。
ビクセンに関して言えば、チームメイトのBronze Tiger (ブロンズタイガー、ベン・ターナー)といい雰囲気になっています。ベン・ターナーはかつてはヒーローだったものの悪人たちに洗脳された過去があってSuicide Squadに入っているそうなので、悪人というわけではないチームメイトとしてビクセンとウマが合うのかもしれないですね。
とあるミッションでアフリカに行った時の二人の嘆きは必見です。ビクセンはもちろん、ブロンズタイガーも恐らくアフリカにルーツがある(本人ではなく、父母や祖父母がアフリカ出身ということかもしれません)ようで、アフリカで苦しむ人々を見て二人はどんよりと落ち込みます。
ビクセンが、「こんなところでこんなに苦しんでいる人がいるのに私はSuicide Squadでアマンダ・ウォラーのために働いて、いったい何をしているんだろう」というようなことを言っていた時には、全くだという感想しか持てませんでした。どう考えてもアフリカの人々のために力を尽くした方がいいです、ビクセン。
とはいえ、Suicide Squadでの活動は続ける模様です。
また、今後のための気になる伏線がふんだんに張られている一冊でもありました。
チーム内の女性メンバー、DuchessがどうもDCコミックス世界最大級の悪役、Darkseidに仕えるFemale Furiesの一人、Lashinaであるらしいことが明らかになったり。
チームのネットワークに、Oracle(オラクル、バーバラ・ゴードン)からアクセスがあったりしています。オラクルに関しては、Killig Joke (感想はこちら)で障害を負ったバーバラが、情報収集・分析のスペシャリストであるオラクルとして最初に登場したのはSuicide Squad誌だ――というのは知っていたので、このシーンなのかと感慨深いものがありました。まだオラクルはストーリーに絡んでくることになりそうなので、楽しみです。
そしてなんといっても、ごたごたするストーリーの中で印象に残るのはアマンダ・ウォラーとCaptain Boomerang(キャプテン・ブーメラン)の可愛さです。
アマンダは政府の影であれこれ裏工作をするフィクサーのような存在ですし、キャプテン・ブーメランは主にフラッシュ誌に登場するヴィランらしく、決して良い人たちではありません。
しかし、政治劇のさなか政敵を殺したいなと落書きをするアマンダとか、
アマンダの見ていないところで舌を出しているキャプテン・ブーメランとか、とても可愛いです。
特にキャプテン・ブーメランはアマンダに呼ばれてミッションの末端に参加しているという立場から、とっても無責任に好き勝手やっている感じがとてもいいなと思いました。