※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
2006年からスタートしたシリーズ、Justice League of Americaの単行本、Sanctuaryを読みました。実質Vol. 4にあたります。
Written by: Alan Burnett, Dwayne McDuffie
Inker: Ruy Jose, Serge Lapointe, Mark Irwin, Jesús Merino, Sandra Hope, Ethan Van Sciver, Ed Benes, Mariah Benes
Penciller: Jonboy Meyers, Ethan Van Sciver, Carlos Pacheco, Ed Benes
発行年 2010年
公式サイトはこちら。
この巻には、
- 犯罪者たちがどこかの惑星に収容されているらしく、Justice League of Americaが捜査する話
- 帰還したFlash (フラッシュ、ウォリー・ウェスト)がリーグの活動に参加するよう促される話
- スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンの三人がリーグの方針について話し合う話
が収録されています。一番力が入っているのは最初のエピソードなのですが、どうもこれ、イベントFinal Crisisにつながっていくエピソードだったようでストーリーとしてはこの1冊だけでは未消化のままに終わります。
あとの二つの話は一話完結なのでちゃんと読めます。
1冊を通じて感じたのは、チームの中の不協和音でした。
まずはHawkgirl (ホークガール、ケンドラ・ソーンダーズ)とRed Arrow (レッドアロー、ロイ・ハーパー)です。この二人、シリーズの最初の方から恋人としてつきあっていたのですが。ロイの元恋人で、ロイの娘のLianの母にあたるCheshire (チェシャ、Jade Nguyen)の行方が分からず、ロイが彼女のことをずっと心配していることからケンドラの気持ちがだんだん冷めていきます。
娘の母親の心配をするのは当然と言えば当然ですが、とはいえ彼女の幻影を見てチームをピンチに晒すロイはどうなのか……というところは確かにありますね。Vol. 5にあたるSecond Comingで、このカップルが喧嘩ばかりと言っていたのはそういうことなのかと思いました。
さらに、Vixen (ビクセン、マリ・マッケイブ)の秘密の件があります。彼女はVol. 1の時点で自分の力が変質していることに気が付きながら、そのことをずっと隠しています。とはいえロイやSuperman (スーパーマン、クラーク・ケント)には分かってしまっているわけですが。
この巻に収録されたスーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンの3人の会議で、ビクセンの秘密が3人に共有されることになりました。
……なんだか、ビクセンの秘密について知らないメンバーの方が少ない。……というか、クラスメートはみんなその秘密を知っているのに担任の先生であるBlack Canary (ブラックキャナリー、ダイナ・ランス)だけが知らない、みたいなことになっていないでしょうか。
こうやってリーグの議長であるBlack Canaryを担任の先生、他のメンバーを生徒たちという風にたとえると微笑ましくなりますが、スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンの3人はカリスマ性を備えた実力者で、前のリーグを主導していたリーダー層であることを考慮すると、「社長の座を後進に譲り今は役員になった創業世代が、現社長に黙って社の状況を把握し今後の社の方針についてあれこれ相談している」とたとえる方がより適切であるように思えます。
スーパーマンたち3人は「ブラックキャナリーをサポートするために~」ということでこの話し合いを持っているようなのですが、この状況が進むとブラックキャナリーはお飾りのリーダーになりかねないな、と思うのでした。組織として決していい形ではないと思うのですよね。