※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
6人のヒーローたちがある毒物に感染し、次々と邪悪な存在になるInfectedの単行本を読みました。この作品は、Dark Nights: Metal (感想はこちら )で登場したDark Mutiverse (最悪のパラレルワールドのような世界)から来たBatman who laughsが、自分の持つ毒物でヒーローたちを邪悪な存在としてバットマンやスーパーマン、Lex Luthor(レックス・ルーサー)と対峙するという一連のイベントのプロローグ的な一冊になります。
ストーリーはBatman/Superman Vol. 1, Year of the Villain: Hell Arisenへと続いていくようです。
Writer: Marc Andreyko, Sina Grace, Dennis Hopeless, Robert Venditti
Art by: Joe Bennett, Pat Olliffe, Eduardo Pansica, Freddie E. Williams II
Cover Artists: David Marquez and Dean White
発行年 2020年
公式サイトはこちら。
Batman who laughsが感染させたヒーローたちは、Shazam (シャザム、ビリー・バットソン)、Blue Beetle (ブルービートル、ハイメ・レイエス)、Donna Troy (ドナ・トロイ)、Comissioner Gordon (ゴードンゴッサム市警本部長)、Hawkman (ホークマン、カーター・ホール)、Supergirl (スーパーガール、カーラ・ゾー・エル)の6人です。このうちスーパーガールだけは事故というか、スーパーマンが感染しそうになったのをかばった結果感染しています。
筆者はドナを目当てで読み始めたわけですが、ゴードン本部長やスーパーガールの姿も印象的でした。また、今まであまり読んでいなかったのですがビリー君やハイメ君、若手ヒーローの彼らがいい家族や友達に恵まれているらしい描写にはほのぼのしました。起きている事件は全然ほのぼのしていませんが。
Batman who laughsの毒は、感染した者たちの最悪の部分を引き出す作用があるようなのですが、読んでいる感じではいつもの彼らのストレスが噴き出しているような印象も受けました。
ドナの物語は、彼女がリーダーとなっている若手ヒーローチームTitansがとある町での揉め事をうまく解決できないでいることから始まります。
二つのグループが関わるその揉め事は、どちらかが決定的に悪いというわけではないもののお互いに歩み寄りも見られず、延々と話し合いが続くという状態になります。ドナはそこで、「Wonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)やNightwing (ナイトウィング、ディック・グレイソン)だったらもっとうまくできるのに……」と落ち込むのでした。
このドナの悩みは大変現実的というか、生活していて直面するトラブルって誰かが決定的に悪いわけでもなく力で解決してしまうわけにもいかない、ということが多いのですよね。悪い人がいて、殴れば解決する状況であればヒーロー稼業の方が楽ですよね。
そんなこんなで、Batman who laughsの毒に感染したドナは2011年以降の設定である「もともとはダイアナを倒すための兵器だった」というところに立ち返ることになります。
とはいえ、仲間であったTitansのメンバーを本気で殺そうとは思っていない節もあり、感染したと言いつつそこまで悪い存在になっているわけではないのでは……と思わせます。
Titans Vol. 3(感想はこちら)に登場した邪悪なドナであるTroiaの方が、邪悪度は上だったかもしれません。
また、感染したゴードン本部長は「どんなに頑張ってもゴッサム市がまともになることはない」と言い、感染したスーパーガールは「やっと恐怖と弱い自分から解放された」と言います。
ヒーローたち、日頃溜めにためていたストレスは小まめに発散するようにしてください……と思うのでした。
それにしても感染メンバーの中でゴードン本部長だけはやや異色に見えるのですよね。これはバットマンにダメージを与えるための人選でしょうか。また次の本を読んでいきたいと思います。
Batman/Superman (2019-) Vol. 1を読みました。感想はこちら。