2021年7月10日土曜日

Green Arrow/Black Canary (2007-2010): Till Death Do They Part 感想

  DCコミックス社の看板ヒーローの一人、Black Canary (ブラックキャナリー、ダイナ・ランス)の恋人として描かれることの多いヒーロー、Green Arrow (グリーンアロー、オリバー・クィーン)は今年 (2021年) デビュー80周年を迎えます。

 ということもあってか、2011年に始まったNew52期の設定リセットでいなくなってしまったグリーンアロー関係者のキャラクターが再登場する気運になっているようです。

 

 今回読んだ作品はNew52期前に連載されていたものですが、当時のグリーンアローファミリーがかなり出演している豪華な一冊でした。

 

【基本情報】
Writer: Judd Winick
Art by: Cliff Chiang, Mike Norton
発行年 2021年 (※単行本の発行年。連載されていたのは2007-2008年)

公式サイトはこちら。



 喧嘩しながらも長いこと付き合ってきたダイナとオリバー。ついに二人は結婚することを決め、ヒーロー仲間たちを集めて盛大な結婚式を行うことにする。しかし、招待状を入手したヴィランが式を襲撃するのだった――というエピソードから物語は始まります。

 そしてここから、次から次へと様々な事件がダイナとオリバー、さらに二人を取り巻く家族たちを襲います。次から次へとと書いたのは誇張ではなく、一つの事件が解決したエピローグで次の事件が起きるという勢いです。読んでいて息つく暇もない、という印象もあります。 

 とはいえ。全体的に陽性のお話です。主役のダイナとオリバーのキャラクターもあってか立て続けに事件が起きる割にどんよりした雰囲気になることはあまりなく、楽しく読み続けることができます。

 見どころは何といっても、New52期前のグリーンアロー関係者(敵も含め)の相互の関係性でしょうね。特にオリバーのファミリーと言えるメンバーの結束の強さを見せつけてくれます。

 

 以下、この本で初めてちゃんと読んだキャラクターについて簡単にまとめます。

 

・Mia Dearden (Speedy): オリバーに習って弓を使って戦うヒーロー、スピーディーとして活躍している。ファンサイトの情報によるとダイナとオリバーの養女。父に虐待され家から逃げ出したが、逃げ出した先でもひどい目にあっているところをオリバーに救出されたようである。2016年以降はほぼコミックに登場していない。


・Conner Hawke (Green Arrow): オリバーの息子。この本の時点ではグリーンアローというヒーロー名で活動していた。オリバーが若い頃遊びで付き合っていた女性との間の子であり、オリバーは全く息子には興味がなかった。が、成長して現れた息子には関心と罪悪感を持ち、ともにヒーローとして戦うようになった。この作品で描かれている若い頃のオリバーの描写はかなりひどい。2011年以降コミックには登場していなかったが、2021年に再登場した。


 また、オリバーの宿敵にして2011年以降はオリバーの父との間にEmiko Queenを産んだという設定になっているShadoですが、この頃の作品ではオリバーとの間に息子ロバートを産んでいるようです。

 ちょっとバットマンとTalia al Ghul (バットマンの宿敵であるRa's al Ghulの娘)の間にダミアンが生まれたという関係を思わせるものがありますね――と思って調べたら、ロバートの初登場は1989年、ダミアンの初登場は1987年でだいぶ登場年が近いです。この頃こういう設定が流行っていたんでしょうか。

 

 2011年以降、Shadoはオリバーの父と関係を持ったことになっていますのでNew52期の設定リセットを期に、Shadoとオリバーの関係が一世代ずれたという印象です。ということで、たぶん今後オリバーとShadoとの間の子供が登場することはないと思うのですが、ShadoさんもGreen Arrow80周年を期にもっとコミックに登場してくれるといいな――と思うのでした。