※このシリーズの各巻感想は以下をご覧ください。
【基本情報】
Writer: Rob Williams
Artists: Various, Guillem March, V Ken Marion
Cover by: Ben Oliver
発行年 2018年
公式サイトはこちら。
このエピソードの敵はワンダーウーマンのストーカーっぽい(この話を読む限りそう見える)、キルケが中心です。タイトルがTrinityということもあり、話の主役はあくまで三巨頭です。魔法チームの活躍を楽しむというよりは、三巨頭の話の彩りに魔法チームが登場するという印象です。冒頭では三巨頭がバットマン(ブルース・ウェイン)の経営するレストランで一緒に食事していたりと、ほのぼのする場面も見せてくれます。
三巨頭が三人で戦う意味とは何なのか。
キルケは三人を倒すためにどんな手段を取るのか。そして、三人はどうやってそれに対抗するのか。
といったことが語られます。
魔法チームは戦いの途中でバットマンに呼ばれての参戦です。冒頭、エトリガンも登場するのですがジャスティスリーグ・ダーク(アニメ)を観てエトリガンの設定を知っておいて良かったなと思いました。エトリガンの設定を知らないと、ここでちょっと戸惑ったかもしれません。
感想としては、バットマン格好いい! です。この話は本当に三巨頭中心なのですが戦いの途中で
"THE ONE WITH NO POWERS....."
と評されるなどバットマン散々です。異星人でもなくアマゾン族のパワーを持つわけでもないバットマンについては他の本でもいろいろとネタにされています。しかし、それを乗り越える人間の力。お見事でした。
以下、ネタバレを含む感想です。
***ここからネタバレ***
バットマンは科学の子!
もう本当に、魔法だ呪いだと言っている中に科学の力で乗り込んでくるバットマンの爽快感&場違い感と言ったらありません。
たとえて言うならば、おどろおどろしい伝説の残る村で猟奇的事件が起きて祟りじゃーとなっているところになぜか科捜研の女が乗り込んできて科学の力で事態を収拾するような。
こんなに強引な手法で呪いを解く人は初めて見ました。
そしてそのことがそのまま、「三巨頭が三人で戦う意味とは何なのか」という問いの答えにもなっていますし、キルケの詰めの甘さと敗因を読者に知らしめる描写にもなっています。
この話ではバットマンが格好いいですけど、他の話ではそれぞれスーパーマンやワンダーウーマンが格好良いんでしょうね。
それはそれとしてザターナは? というところなんですが、残念ながらそんなには活躍しません。劇中、魔法の使い手として最強クラスであるという描写はあります。しかしそれを生かしているかと言うと、「生かしていない」とは言わないけれど……という状態です。コンスタンティンとのいつも通りのやり取りは楽しめます。
この本を読むときは、素直に三巨頭をメインに読んだ方が面白いです。
ちなみに、このVol. 3のラストを飾るのは#12~#15のエピソードとは全く関係のない#16です。大晦日の夜にテロリストと戦う話です。新年に向けたカウントダウンと、テロリストの作戦のカウントダウンとが重なり合うスリリングな話になっています。こちらもおすすめです(※魔法チームは登場しません。全く別の話です)。
なお、筆者がこの本の中で一番好きなセリフはこちらです。スーパーマンがバットマン経営のレストランに招待された時のもの。
"LOIS IS GONNA GO NUTS WHEN SHE SEES THE BILL."
「ロイスが勘定書見たら発狂するよ」。バットマンのレストランはミシュランの星が付いていてゴッサムシティの中で一番高額らしいです。さすが大富豪。そしてスーパーマンのこういう小市民ぽいところが大好きです。ところで、ワンダーウーマンは何をして生計を立てているんでしょうか。