2021年4月17日土曜日

Dark Nights: Metal: Deluxe Edition 感想

  Hawkgirl (ホークガール)はDCコミックスに昔から登場しているキャラクターですが、少し調べただけで設定がかなり複雑そうなので正直敬遠していました。とはいえ、Zatanna (ザターナ)が初めて登場したHawkman #4 (JLA: Zatanna's Search収録、感想はこちら )でザターナを助けたのはホークガールとホークマンですし興味はある……と思っていたら、2016年から始まったRebirth期に絞るとこのDark Nights: Metalで初登場しその後はJustice League誌と、キャラクターの把握がしやすそうだったのでまずこちらの単行本を読んでみました。

ちなみに、Zatanna's Searchに登場したHawkgirlとこの作品に登場するHawkgirlは別人だそうです。

 

【基本情報】
Written by: Jonathan Glapion, Scott Snyder
Art by: Greg Capullo
Cover by: Greg Capullo
発行年 2018年

公式サイトはこちら。



 DCコミックスの世界には、Mutliverseと呼ばれるいくつもの世界が存在していることが知られている。しかし今、これまで知られていなかったDark Multiverseの勢力が他の世界を侵攻しようとしていたのだった。かつてDark Multiverseの存在に気づき、その調査結果を記録したHawkman (ホークマン、カーター・ホール)の記録を読んだHawkgirl (ホークガール、ケンドラ・ソーンダース)はジャスティス・リーグにそのピンチを伝え、Dark Multiverseへと通じる扉を開けてしまう者としてBatman (バットマン、ブルース・ウェイン)を名指しするのだったが――と物語は始まります。

 

 

 非常に詩的なお話です。数多くのヒーローたちが登場するスケール感の大きなお話で、ダイナミックな戦闘シーンが描かれるストーリーではあるのですが、一方で語られるのは物語の消失と音楽の消失でもあります。

 Dark Multiverseの勢力は物語の消滅と音楽の消滅を幾度も掲げ、死は最も大きな音である(雑音ということでしょうか)と主張するのでした。

 

 もともと最古の物語が詩と言う形で語られたことを思えば、物語と音楽は非常に近い存在であるといえます。また両者とも、人間の歴史が始まった頃から人間のそばにあったものとも言えます。Dark Multiverseがすべてを闇へと落とそうとするときに、物語と音楽がモチーフになるというのはきれいだなと思いました。

 

 ホークガール自身はこの作品では世界観の案内役といった様子で、彼女の性格面が描かれている部分はあまりないように感じます。

 女性ヒーローで印象的なのはWonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)です。ヒーローたちが窮地に追い詰められた時、彼女があげる反撃ののろしはどのようなものなのか。最高に格好よく、作品全体の見どころになっていると思います。