Rebirth期Supergirl誌のVol. 1と2を読みました。実質的にはシリーズ5巻目と6巻目ですが、ナンバリングがリセットされてVol. 1からのスタートになっています。Vol. 4までのSteve Orlando氏のエピソードとはほぼ関係のないお話になっていますので、ここから読むことも可能です。でもやっぱり、単行本派が読む順番を間違えないで済むようにシリーズ内で何巻目かということは分かりやすくしてもらいたいものです。
Written by: Marc Andreyko, Dan Jurgens
Art by: Various, Sean Parsons, Kevin Maguire, Fco Plascencia, Eduardo Pansica, Julio Ferreira, Chris Sotomayor
Letterer: Tom Napolitano
Cover by: Stanley "Artgerm" Lau,Terry and Rachel Dodson, Yanicj Paquette, Nathan Fairbairn
発行年 2019年
公式サイトはこちら (Vol. 1)。
かつてSupergirl (スーパーガール、カーラ・ゾー・エル)が家族とともに暮らしていたクリプトン星。クリプトン星は滅びたが、滅ぼした犯人はRogol Zaarという人物らしいことが分かったのだった――というところから物語は始まります。
Orlando氏のスーパーガール誌と全然違うところから始まったぞと困惑していたら、どうもこの犯人が明らかになってきたエピソードは別のコミックで描かれていたらしいです。この記事で取り上げているVol. 1-2のストーリー全体がAction Comics誌やSuperman誌といったスーパーマン関係のコミックとのコラボストーリーといった雰囲気になっています。
複数のコミックでがっちりと同じ事件を描くようなイベントとは違って、あくまでもふんわりとコラボしている程度と言った印象は受けますが、たまに話が飛ぶ部分はあります。とはいっても、本文中の説明で「大体こんな感じだったんだろうなあ」と頭の中で補足すれば物語についていける感じです。
さて、クリプトン星を滅ぼした犯人らしき人物が明らかになったことで真相を突き止めるためにカーラは宇宙を駆け巡ることになります。手にはRogol Zaarの残した武器である大斧を持って、相棒はクリプトン星の生き残りの一人、犬のクリプトです。スーパーマンは別の仕事があるらしいので不参加です。
ということで、宇宙のあちこちでいろんなことを調べては衝突を繰り返すカーラの姿を読者は見ることになるのですが、非常に印象的なのはカーラの怒りでした。
もともとカーラは、2005年頃に再登場してから(感想はこちら)わりといつも怒っていたり不機嫌だったりするイメージがあります。
それは従兄弟のSuperman (スーパーマン、カル・エル)が温和な性格であることの対比でもあるでしょうし、クリプトン星を滅ぼされた怒りと嘆きを直接に引きずっていることでもあるでしょう。何も知らない赤ちゃんのうちに地球にやってきたスーパーマンは、クリプトン星滅亡を直接経験しているわけではないのでカーラとの温度差はありますね。
いつも怒っている印象のカーラは、New52期のシリーズでは「怒り」を原動力として戦うRed Lanternの一員になったことさえあるわけですが (感想はこちら)、筆者は今でも、カーラがRed Lantern入りするのは「有り」だったと思っています。他のRed Lanternメンバーもカーラのことをちゃんと評価してくれていましたしね。
そしてこのエピソードでカーラが手にするRogol Zaarの大斧は、持ち主の怒りと共鳴し力を発揮する武器――というわけで、カーラとの相性はぴったりです。
――ということは、クリプトン星を滅ぼした時のRogol Zaarもまた怒りに満ちていたということになるわけですが、果たしてその怒りは何が原因だったのか。
そして、Rogol Zaarの大斧を使いこなしつつあるカーラは、果たして怒りという感情に飲み込まれずにいられるのか。という点が見どころになっている作品です。
以下、ネタバレを含む感想です。
***ここからネタバレ***
Rogol Zaarの怒りは、彼の家族たちがクリプトン星人に殺されたことにあるようです。一方、カーラの怒りの暴走を止めたのはクリプトをはじめとする家族たちでした。
Rogol Zaarにもし良い仲間がいれば、クリプトン星を滅ぼすところまでは行かなかったのではないかな、と思います。その仲間を殺したのがかつてのクリプトン星人だとすれば、「因果は巡る」としか表現のしようがないと思いました。