Rebirth期AquamanのVol. 3を読みました。王として安定して統治していくには内政が大切、という教訓が得られるお話になっています。
Written by: Dan Abnett
Art by: Philippe Briones, Wayne Faucher, Scot Eaton, Andrew Hennessy, Bradley Walker
Cover by: Andrew Hennessy, Bradley Walker
発行年 2017年
公式サイトはこちら。
この巻に収録されているエピソードは大きく二つに分かれます。前巻まででアメリカとアトランティスとの戦いを無事に終結させたAquaman (アクアマン、アーサー・カリー)が、今度はアメリカのチームと協力して怪異Deadwaterと戦う話が前半。後半はアトランティスでクーデターが起き、下層とされる地域The Ninth Tride出身のCorum Rathにより王位が乗っ取られます。
読んでいて、「それは仕方ないな……」と思える展開でした。アメリカとの戦争でてんやわんやしていたVol. 1-Vol. 2はともかく、戦争が終わった段階でアーサーが王としてやるべきことは被害を受けたアトランティスの人々の様子を見て回ることではなかったのかと。実際に描かれるのは、アーサーの故郷である地上の町、Amnesty Bayの人々を助ける姿であるわけで(同行したアトランティスの人々が地上の人々と仲良くなるのはいいとしても)、これはアトランティス人からしたら「王は我々のことを考えてくれていない……」となるのもやむを得ないでしょう。
Regent (摂政)であるTulaにその辺を任せているのだとしても、王がちゃんと顔を見せるべきなのではないかと思います。アトランティスは決してユートピアではなく、貧富の格差もあるようですし。
そんなわけでCorum Rathの襲撃を受けてアーサーの恋人であるMera (メラ)と摂政だったTulaは地上に逃げます。そしてアーサーが地上に戻ってくるのを待ちますが、アトランティスでアーサーは襲われ、助けに行ったメラはCorum Rathの指示により展開された「アトランティスを外界から隔てる魔法」により阻まれる……というところで、お話は次巻へと続いていきます。
アーサーには王ではなく、ヒーロー・アクアマンの方が向いているのではないかなと思える一冊でした。New52期Wonder Woman誌でも、アマゾン族の女王だったヒッポリタがいなくなってしまったため娘であるダイアナが女王になるという展開があるのですが(感想はこちら)、そもそもヒーロー稼業が忙しすぎる+故郷を離れることのない他の住人たちと感覚が違いすぎる、で中々平和な統治は難しいという印象です。
ダイアナの場合生まれ育ちがアマゾン族の住むセミッシラなのでまだいいですが、アーサーは生まれも育ちもアメリカであるため他の住人との感覚のずれはさらに大きいですよね。アーサーに王位を保証するものは血筋しかないわけです。王位を継ぐにあたっては血筋こそが一番大事なんだろうと言われればそうかもしれませんが、自分たちと同じ国で育った王と、異国で育ってある日やって来た王と、住人が親しみを覚えるのはどちらでしょう。
アーサーがアトランティスの住人たちに受け入れられる努力を地道にしていたらこうはならなかったのではないか、と思うのでした。それがヒーローコミックとして面白くなるかどうかは別にして。