2022年6月22日水曜日

Aquaman (2016-) Vol. 4 Underworld 感想: 政治的思惑の蠢き

 ※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。

 Rebirth期AquamanのVol. 4を読みました。前巻で王位を追われ、死んだと思われたAquaman (アクアマン、アーサー・カリー)はもちろん生存していて、アトランティスの最下層で名前をかくして地道に人々のために働き始めました。

 一方、古来の魔法を使って鎖国したアトランティスに侵入しようとしたアーサーの恋人、Mera (メラ)は大ピンチに陥ります。

 

【基本情報】
Art by: Stjepan Sejic
Cover by: Stjepan Sejic
Written by: Dan Abnett
発行年 2018年


公式サイトはこちら。



 前巻の終わりで死んだと思われたものの実はアトランティスの最下層に転落していったアーサーは死んではいなかったのだ――というところから物語は始まります。

 一方、アーサーを追いやり王位についたCorum Rathは、アトランティス古来の魔法をフル活用しアトランティスの防衛力を高めていきます。しかし、魔法はアーサー以前からあまり使われていなかったものらしく王を補佐する者たちの中から不安の声が出ます。

 さらには、アトランティス最下層では人間とは違う姿に変化している者たちが存在するのですが(これ自体は自然現象のようです)、Corum Rathはこうした者たちをアトランティスの正しい住人とは認めず排斥しようとしているらしく、当然不満が高まっています。

 アーサーは、自分はアトランティスから王として求められていないと理解して最下層でほそぼそと生きていくつもりだったようなのですが、住人達とのふれあいを通して、彼らを守るヒーロー、アクアマンとして活動し始めるのですが――というのがあらすじになっています。

 何と言ってもしびれるのは、アトランティスの各政治勢力や個人がそれぞれの思惑のもとに行動していることでした。前巻ではすっかりアトランティスを掌握したように思えたCorum Rathでしたが、実際にはそうでもないことが明らかになります。

 

 中でも、Widowhoodの動きには感服しました。Widowhoodは戦死したアトランティスの兵士の妻の会だそうなのですが、政治にも一定の影響力を持っています。

 以前の巻 (Vol. 1-2, 感想はこちら) ではメラにお妃教育をしようとして中断していた団体でもあるのですが――メラ個人のことは認めていても、彼女が予言されたFatal Queenになることを危惧したのです――今回そのグループが「Corum Rathもアーサーも排除しメラを王位につける」という目的のもとに動き出します。

 たぶん彼女たちが見てきた中で最も王位にふさわしいのはメラだということだと思うのですが、大変強かでよろしい、と思いました。頑張ってもらいたいです。

 で、肝心のメラですが。魔法で鎖国したアトランティス内にTempest (テンペスト、ガース)と協力して侵入しようとします。潜入にはなんとか成功するのですが、魔法の悪影響ということなのか、なぜか窒息の危機に。最下層で野心を抱くギャングのボスみたいな人に捕まり、アーサーの知らないところでピンチに陥っています。次巻で何とかなることを祈るしかないですね。