※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
Justice League: No Justice (感想はこちら)のあと、魔法の世界で起きた異変との戦いを描いたのがJustice League Dark (感想はこちら)でしたが、宇宙の世界での戦いを描いたのがJustice League Odysseyのシリーズになります。Starfire (スターファイヤー、コリアンダー)が登場するということで1巻を読んでみました。
Written by: Joshua Williamson
Art by: Carmine Di Giandomenico, Philippe Briones, Stjepan Sejic
Cover by: Stjepan Sejic
発行年 2019年
公式サイトはこちら。
Justice League: No Justiceの戦いの舞台となった惑星Colu。その星を逃れた難民たちは、Ghost Sectorと呼ばれる宇宙空間に吸収されていた。Green Lantern (グリーンランタン)の一人として、Ghost Sectorを監視する任務についたJessica Cruz (ジェシカ・クルズ)は日々孤独に耐えながら任務を果たしていた。そんなGhost Sectorに、地球からCyborg (サイボーグ)、スターファイヤー、Azrael (アズラエル、ジーン-ポール・バレー)が訪れる。彼らは自らを呼ぶ声に突き動かされてこの空間にやって来たのだった。不法侵入した彼らを逮捕しようとするジェシカ。しかし異変が一同を襲い、協力して生き残りを図らざるを得なくなる。Ghost Sectorにいる人々はなぜサイボーグ、スターファイヤー、アズラエルを神として称えているのか、そしてGhost SectorにいるDarkseid (ダークサイド)の真意とは――というのがあらすじです。
No Justiceの影響を受けた世界を描く、という意味ではJustice League Darkと兄弟姉妹のような関係にあるシリーズです。
しかし、Darkの方が「魔法が創造されたときに切り離されて追いやられた闇の部分がNo Justice事件をきっかけに現在の世界に侵攻してきたのだ」――という、DCコミックスの世界観とあまり関係のない設定になっていた(DCコミックではないファンタジー作品でもありそうな設定ですよね)のに比べて本シリーズはDCコミックスの世界観やJustice League: No Justiceの設定をきちんと踏襲しているので、話としてはちょっと分かりにくいかな、という印象がありました。Vol. 2、Vol. 3と読んでいくとまた感想が変わるかもしれません。
なにしろサイボーグたち3人を神と称える世界のインパクトが強すぎて「なぜ遠く離れた地球のヒーローたちを神にしたのか……」という疑問が湧いてしまい、読みながら他のことはあまり目に入らない状況になってしまいました。サイボーグたち自身もかなり困惑しています。当たり前ですね。自分の姿を元にした巨大な像が建っている世界に行って、困惑しないほうがおかしいです。なお、この疑問についての回答はVol. 1では出てきません。
そんな中印象的だったのは、ジェシカ・クルズの生真面目さでした。筆者はこれまで女性グリーンランタンとしてジェシカの存在を知ってはいましたが、登場作品を読むことはあまりありませんでした。まだグリーンランタンとしての経験は浅いようですが、そんな中でも頑張るジェシカ。ヒーローたちを逮捕すると息まきつつ(ところでGhost Sectorはグリーンランタンの管理下にあると一般的に認められているんでしょうか? 認められているかどうかといったことは関係なしに逮捕権を主張するのがグリーンランタンなのでしょうか)、危機が訪れると協力しつつ、でもやっぱり逮捕すると主張するジェシカ。Vol. 2以降にも期待したいと思います。