※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。
Amanda Waller (アマンダ・ウォラー)率いる使い捨て部隊、Suicide Squad のVol. 7を読みました。この巻から組織の仕事がアメリカ政府のための汚れ仕事だけではなく、米国政府と特に関係のない仕事も入ってきます。部隊自体の存在が世界に知られるようになり、便利屋化しているのかもしれません。
Written by: Kim Yale, John Ostrander
Art by: Various, Geof Isherwood, Luke McDonnell
Cover by: Karl Kesel, Geof Isherwood
発行年 2017年 (単行本の発行年。連載されていたのは1991年頃)
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表紙にはこのようにKatana (カタナ、タツ・ヤマシロ)さんがいますが(右側)、カタナさんがチームに加入するわけではなくゲストとして登場して大事なところで活躍する役回りです。
この巻もいくつかの短編や中編で構成されています。一番印象に残るエピソードはカタナさんが登場する物語で、ソ連から流れ出した大量の武器が日本のヤクザの手に止まらないよう食い止めるSuicide Squad、というお話です。この話ですがアメリカ政府からの依頼ではなく、ある日本人からの依頼ということになっています。日本が舞台になるということでカタナさんも参戦するのですが、日本人読者としては「ソ連の武器とかそういう物騒なものを日本に持ち込まないで~」という気持ちで読んでいました。
なんでも、日本にお金があるのでそうした武器が流入するのだそうで。この辺は1990年頃の作品っぽいですね。
嬉しかったのは、シリーズ初期にチームメンバーだったNightshade (ナイトシェイド、イブ・エデン)が復帰してきたことです。短編でかつてのチームリーダー、Rick Flagの子供のピンチを助けるミッションに参加し、その後はナイトシェイドの中にいるEnchantress (エンチャントレス)への対応を見つけるためにチームに戻ってきました。
ナイトシェイドはこのシリーズの中でしっかりとオリジンが示されたキャラクターでもありますし、チームに戻ってくるのは嬉しいですね。常識的な行動の取れるメンバーですし……と思っていたら、Vixen (ビクセン、マリ・マッケイブ)がチームから離脱してしまいました。
ビクセンは前巻の戦いで意識を失いずっと病院だったのですが、体を治してからチームの離脱を決めたようです。
「以前のようにはBronze Tiger (ブロンズタイガー、ベン・ターナー)を愛せない」
と言って、彼女は去ります。
ビクセンとブロンズタイガーは読者から見ていても分かりやすくお互いのことを愛していたわけですけれど、歯車が一つずれるとこうなっちゃうんだな、うまくいかないものだなと思いました。
と、このように、チームの役割も変わりメンバーも変わり……と変化を強く印象付ける一冊でした。
なお、舞台が日本になったエピソードでどうしても気になったのですが、"Giri-Ninjo"という言葉の使い方が変です。「恩があるから」「借りがあるから」と言えばすむところを「義理人情によって」みたいな言い方をするからおかしくなるのだと思います。
そもそも義理人情って「義理人情に厚い」みたいな言い方はしますがそれ以外の場所では「義理で~」とか「人情を考えて~」とか、分けて使うことが多い言葉だと思うんですよね。