2021年3月30日火曜日

Red Hood and the Outlaws (2011-2015) Vol. 4: League of Assassins

※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。

  かつてはバットマンの相棒Robin(ロビン)だったが、Jokerに殺され、生き返ったもののバットマンとは異なる新たなる活動を始めることになったRed Hood (レッドフード、ジェイソン・トッド)がタマラン星の王女Starfre(スターファイヤー、コリアンダー)と、かつてGreen Arrowの相棒で今は独自路線を行くArsenal (アーセナル、ロイ・ハーパー)と共にタッグを組んで戦うRed Hood and the Outlawsの2巻を読みました。

 

 このシリーズはこれまで1巻、2巻と読んできたので本来なら3巻を読むところですが、3巻はイベント: Death of the Familyに関するお話のようです。以前Batgirl誌のDeath of the Familyを読んだ時怖すぎたため、3巻はスキップして4巻を読みました。

 

【基本情報】
Written by: James T Tynion IV
Art by: Jeremy Haun, Julius Gopez, Al Barrionuevo, Various
Cover by: Al Barrionuevo
発行年 2014年

公式サイトはこちら。



 Death of the Familyでのイベントの影響か? 自分の人生の辛い記憶を消してほしいと願ったジェイソン・トッド。しかし、それはすべての記憶を捨て去ることを意味し、ロイやコリアンダーのことも忘れてしまった。ジェイソンを自分たちのチームに繋ぎとめようとする二人だったが、ジェイソンは不信感を覚えチームから離れる。一方、Ra's al Ghulの率いるLeague of Assassinsと、古代から残るUntitledの戦いは頂点に達し、ジェイソンはUntitledを倒すためのキーパーソンとしてLeague of Assassinsのリーダーとして迎えられるのだった――というのがあらすじです。

 

 3巻を読んでいないので良く分かっていない部分もあると思いますが、ジェイソンが自分で望んで記憶を失ったので仲間たちがジェイソンのために頑張る、という流れが正直、あまり好きにはなれませんでした。

 多くの記憶喪失の話ですと事故の不可抗力で記憶を失うことが多いため、頑張れと思って読めるわけですが、この作品の中でジェイソンが「何も覚えていないから先に進めない」と言っていても、「そもそも君が望んだことなんだよな……」と思ってしまって醒めてしまう、というか。

 ロイの若い頃のエピソードも出てくるのですが、単行本全体としてジェイソンが持ち上げられすぎではないかな、と感じるところもあり三人のお話としてはバランスが悪いと感じました。ジェイソンのファンにはいいかもしれないけど、……という感想です。

 

 以下、ネタバレを含む感想です。

 

 ***ここからネタバレ***

 

 3巻を読んでいないということで大事な伏線を理解できていないのかもしれないのですが、終盤に近づくにつれジェイソンが能力の高さを発揮しすぎているように感じました。

 ジェイソンがUntitledを倒せるパワーを持っている理由も、良く分かりません。描写からするとまるでジェイソンが普通の人間にはない特殊能力をもっているキャラクターのように見えます。なぜ、ずっと訓練していたはずのTalia al Ghulにはできなかったことをジェイソンがすぐにできるようになるのか。Fast Learner(習ったことをすぐに身に着けられる人のこと)という説明はありますが、むしろTaliaに才能がないのでは……という疑惑さえ抱かせます。

 DCコミックス界では最強レベルの暗殺者である、Lady Shivaにしばらく訓練されたからと言って(そしてFast Learnerだからと言って)、実際に本気でLady Shivaと戦ったとき彼女の上手が取れるというのも良く分かりません。

 最終盤でジェイソンは記憶を取り戻すのですが、なぜ記憶を取り戻すと同時にそれまで縛られていた鎖から解き放たれるのか(※この「鎖」は物理的な鎖です)。記憶を消したのが魔法によるものなので、記憶が戻るときに何らかの魔法が働いたのだろうと思いますが、ちょっと都合が良すぎないでしょうか。

 

 ジェイソンがバットマン譲りのいろいろなガジェットとか、バットマン譲りの諸々の準備とかでLeague of Assassinsを出し抜くとか、一時的に魔法を使えるアイテムを誰かから譲り受けているとかそういうことなら分かるのですが。

 

 ジェイソンが持ち上げられすぎて、却って面白くなくなってしまったという印象でした。