2023年1月22日日曜日

Harley Quinn: The Animated Series Vol. 1: The Eat Bang! Kill Tour 感想 -PTSDの克服-

  Harley Quinn: The Animated SeriesのVol. 1を読みました。タイトル通り、アニメのHarley Quinn: The Animated Seriesのコミカライズ版という作品だと思うのですが。

 Vol. 1と書いてあるのだからシーズン1のエピソードから収録されているのだろう……と思いきや、いきなり途中から始まる構成です。アニメシリーズのあらすじを調べてみると、シーズン1、2のエピソードを前提にしてそこからの続きを描いている様子です。なんでそんな中途半端なことを。

 さらにシーズン3以降のアニメシリーズのあらすじを読むと、このコミックに対応しているエピソードがないように読めます。シーズン2までをベースに、アニメシリーズからは分岐した物語を描いているような形なのかもしれません。

 なお、アニメシリーズは日本では配信されていないようで、シーズン1・2を収録したブルーレイが発売されているようです。

 英語ですと、Youtubeでシーズン1の第一話を見ることもできますね。作品の雰囲気は何となく分かります。

 

 

【基本情報】
Written by: Tee Franklin
Art by: Erich Owen, Derec Donovan, Max Sarin
発行年 2022年


公式サイトはこちら。



 シーズン1,2でいろいろなことが起きたようなのですが、この作品を読む上で大事なのは

・ハーレイはジョーカーと別れて吹っ切れた

・ポイズン・アイビーはカイトマンのプロポーズを受け入れたが内心ではハーレイを愛しており、カイトマンとの結婚式の時にゴッサム市警のゴードン本部長が乱入してきたどさくさにハーレイと一緒に逃げた


 という2点です。なおカイトマンは許してくれたらしく、実に心の広いヴィランだと思います。 

 そんなわけでこのコミックは、ハネムーンに出かけるハーレイ・クインとポイズン・アイビーをコミカルに描く作品――と見せかけて、実質的には

・ポイズン・アイビーが幼少期からのPTSDを克服していく過程を描く

・すっかり有名な同性愛カップルになった二人を応援するクィアの人たちやヒーローたちに助けられつつ警察やヴィランと戦う二人を描く

 という作品です。全体的にはコメディなので楽しく読めるのですが、アイビーの情緒不安定さに不穏なものを感じてきたあたりでPTSDの話が出てくるので、なるほどと読める感じです。 

 二人のハネムーンは周りに波乱を巻き起こすので、善良な市民から見たら傍迷惑な話だと思います。それでも、何だかんだと頑張っている二人を周囲が(ヒーローたちですら)助けてくれるのがいいなと思いました。

 気になるのはゴッサム市警のゴードン本部長で、ハーレイとアイビーを逮捕しなければとかなり思いつめている様子。娘のバーバラ・ゴードンですら父親を精神的にケア出来ない状況なのは結構まずそうなのですが、次のシリーズで何とかなるのでしょうか。