※この本に収録されているArtemis: Wantedの感想はこちらをご覧ください。
Wonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)とアマゾン族を中心にしたイベントTrial of the Amazonsの関連作品を収録したTales of the Amazonsですが、その1で取り上げたArtemis: Wanted以外の作品も面白かったのでこちらの記事ではそれ以外の作品についての感想を書きたいと思います。
・Young Diana
Wonder Woman本誌で連載されている、ダイアナの幼少期を描いたエピソードの中から「幼いダイアナがヌビアと初めて親しく話す」というエピソードが収録されています。
ヌビアはこの頃、セミッシラ島の怪異を封じるDoom's Doorwayの守護者というポジションですので、基本的にはその場所にずっといるらしいです。
Doom's Doorwayで何も起きていない時は結構暇な仕事だったらしいということが分かる作品になっています。守護者はつらいよ。
子供向け作品ということでとにかく絵柄が可愛らしい一篇になっています。
・Road to Trial of the Amazons: Trial of the Amazonsの前日譚。
Bana-Mighdallを中心に展開し、Trialに参加したBana-Mighdallには「不老不死を取り戻す」という目的があったことが明らかになる作品です。
Bana-Mighdallの一族はセミッシラ島を離れたアマゾン族ですが、不老不死ではなくなってしまったらしいのですね。それでは人数が減る一方か――というと、人間の女性のなかでBana-Mighdallにやって来た人々の中でアマゾン族にふさわしい人をメンバーに加えていたようです。
とはいえ、やはり不老不死に戻りたい――というわけで、Doom's Doorwayの守護者の地位にBana-Mighdallの出身者が就任すればBana-Mighdallのアマゾン族も不老不死になるはず! という理由で、彼女たちはTrial of the Amazonsでセミッシラ島に行くことに決めたようです。
読んでいて、Bana-Mighdallの女王であるFaruka IIの魅力が爆発している一作でした。Rebirth期Wonder Woman誌で登場したころ(感想はこちら)は、
「私利私欲でBana-Mighdallを変な方向に連れて行ってしまいそう……」
と思わせる雰囲気の女王様でしたが、次第に「Bana-Mighdallの民のことを常に考えている(ただし、あまり手段を選ばない)」という強かなキャラクターに変わってきましたね。
小さな民族が生き残るためには強かなリーダーが必要なので、Faruka IIはとてもいいと思います。この作品では珍しい眼鏡姿も披露していて(下図)、ファンサービスも素晴らしいです。
さて、Trial of the AmazonsではBana-Mighdallのもう一人の女王でありセミッシラのヒッポリタ前女王の姉妹でもあるAtalantaと、同じく姉妹であるAntiopeがその身を犠牲にすることでDoom's Doorwayを封じることになったわけですがBana-Mighdallの人たちの不老不死はどうなったのでしょう?
Bana-Mighdallの女王の一人がDoom's Doorwayを封じる任に着いたので無事に不老不死になったと思っていいのでしょうかね。何となく、Atalantaは最初から自分が犠牲になることで皆を不老不死にしようと狙っていたような気がするのですが。
・Nubia: Coronation Special: Trial of Amazonsの後日譚。
この作品はメインとしてはヌビアの戴冠式なのですが、ヌビアの過去を取り上げたり近未来の世界を描いたりしています。
印象的だったのはヌビアの過去の中で、Doom's Doorwayの守護者時代にお忍びでアメリカに来ていた時のエピソードでした。
Wonder Woman (ワンダーウーマン、ダイアナ)とは違い、肌が黒いことで余計なトラブルに巻き込まれるヌビア。ファンタジー要素の強いエンターテインメント作品でも人種差別のことに触れるくらい、アメリカでは避けては通れないことなんだろうな……と思いました。
・Olympus: Rebirth: Trial of Amazonsの後日譚。
前の記事で取り上げたArtemis: Wantedに次いで、印象の強い作品でした。ヒッポリタ前女王が死後、オリュンポスに行きギリシアの神々の中で神としての地位を確立するべく頑張る話――なのですが、なんだかとても苦労しています。
もともと大神ゼウスの正妻のヘラから見ればヒッポリタ前女王はゼウスの愛人の一人でしょうから(※ダイアナはゼウスとヒッポリタの子です)態度がきついのは仕方がないとしても、大神ゼウスもヒッポリタさんの話を聞こうとはしませんし。女神アテナやアルテミスもヒッポリタさんを助けてはくれませんし。
一方、Trial of the Amazonsで死んだヒッポリタの姉妹であるAtalantaや、それ以前に死んでいたAntiopeはギリシアの神々が行く地獄であるタルタロスにいてそこからアマゾン族を守ろうとしているようです。
あのー、死後のアマゾン族の皆さんが平和に暮らせる場所はないんでしょうか……という気持ちになる一作でした。死んでからも王族の皆さんが大変すぎるんですけど何とかならないんでしょうか、これ。