Wonder Woman by George Perez Vol. 2を読みました。Perezによるこのシリーズは、現在までつながるワンダーウーマンの基礎となるようなシリーズだと思います。
Written by: Len Wein, George Pérez
Art by: Various, George Pérez
Cover by: George Pérez
発行年 2017年 (※連載されていたのは1988年頃)
公式サイトはこちら。
Vol. 1で「ワンダーウーマン」として認知されるようになったアマゾン族の王女ダイアナですが、この巻では「ワンダーウーマンの存在が気に入らない」という敵が次々と出てきます。Silver Swanや、Circeですね。Circeさんは最近のJustice League Darkシリーズにも登場していましたが (感想はこちら)、「アマゾン族やダイアナの存在自体が気に入らないので何かとちょっかいを出す」というのは時代を超えて一貫しているのだなと思いました。そして詰めが甘いところも共通なのですね。
この巻ではさらに、ダイアナが侵攻するオリュンポスの神々が現在のオリュンポスを捨て新天地を目指す(伝令の神ヘルメスだけが残るようです)ことが語られ、アマゾン族たちは親離れ――ならぬ、神離れをせざるを得なくなり、人間たちの世界にセミッシラ島の門戸を開くことを決断します。
と、いろいろなことが起きる一巻なのですが、筆者の印象に一番残ったのはダイアナの友人であるMyndi Mayerの死のエピソードでした。
彼女はVol. 1で登場したやり手のプロデューサーです。ダイアナのことを知り、ワンダーウーマンやアマゾン族のことを大々的にプロモーションしました。ワンダーウーマンという存在があっという間にアメリカの人々に知られるようになったのは、彼女の存在が大きいです。
そんな彼女が変死し、ダイアナは犯人を探し、さらには遺言状の公開にも立ち会うことになったのでした、というエピソードがこの巻に収録されています。
面白いと思ったのは、Myndi Mayerとダイアナは決して親しい友人というわけではないということです。友人というより、ビジネス上のパートナーといった方が正しいでしょう。しかも、「ダイアナをうまく使ってお金を稼ぐ」という明確な目的があるMyndi Mayerと比較してダイアナは「アメリカの事情が良く分からないままに振り回されている」という印象が強く、むしろそのうち激しい衝突をするのではないかという二人でした。
ところが、彼女が死んだときダイアナは真に悲しみ、彼女も遺言でわざわざダイアナを指定してとあるメッセージを伝えます。
詳しくは読んでいただきたいのですが、親しい友人と言えるような存在でなくても、価値観が違っていても、ダイアナの存在と彼女が持つ愛は周りの人たちに影響を与えずにはおかないのだなと思えるエピソードになっていて筆者は好きでした。