2022年7月23日土曜日

Justice League Odyssey (2018-) Vol. 3: The Final Frontier 感想: 敵の敵は味方

 ※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。

 Justice League OdysseyのVol. 3を読みました。

 地球をメインの活動場所としているヒーローStarfire (スターファイヤー、コリアンダー)、Cyborg (サイボーグ、ヴィクター・ストーン)、Azrael (アズラエル、ジーン・ポール・バリー)の3人が不思議な声に呼ばれ宇宙空間に旅立ったところ実は3人を呼んでいたのはDarkseidだったのだった、そして宇宙の平和を守るGreen Lantern (グリーンランタン)の一人、Jessica Cruz (ジェシカ・クルズ)も3人とDarkseidの戦いに巻き込まれるのだった、さらにそこにStarfireの姉であるBlackfireも絡むのだった――という本シリーズですが、Vol. 2ではジェシカを含めたヒーローみんなが絶体絶命というところで終わりました。

 

 この巻からは新キャラクターが登場し、新たな展開が描かれていきます。

 

【基本情報】
Writer: Dan Abnett
Artists: Will Conrad, Cliff Richards, Chriscross, Le Beau Underwood, Danny Miki, Scott Hanna
Colorists: Rain Beredo, Pete Pantazis
Letterer: Andworld Design
Cover: Will Conrad, Rain Beredo
発行年 2020年


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 上述したように絶体絶命のまま終わったVol. 2ですが、このVol. 3はジェシカ達からいったん離れ、彼らが戦っていたGhost Sectorの近くに浮かぶ宇宙船から始まります。

 宇宙船に乗っているのはRed Lantern (レッドランタン)のDex-starr (デクスター)、ザマロン星出身の技術者Arla Hax, それに謎の覆面の男Okkultでした。彼らは目的があってこの宇宙船に搭乗しているらしいのですが、戦場と化したGhost SectorからBlackfireの体とジェシカの遺体を宇宙船内に転送します。

 

 ――そしてしばらくして、明らかに死んでいたはずのジェシカが生き返るのでした。

 ジェシカはスーパーパワーの源であるGreen Lantern Ringが壊されDarkseidのOmega Beamにより死亡した――はずなのですが、なんでもリングのかけらが手の中に残っていたオメガビームを吸収、ジェシカの身体を再生したそうです。というわけでこの後のジェシカはオメガビームのパワーにより戦うことになります。

 

 オメガビームパワーはジェシカの身体を再生しただけではなく性格も変化させたのか、ジェシカはこれ以降物事を速やかに決める結構強引なリーダーとして振舞うようになります。……オメガパワーは関係なく、一回死んで生き返ったら怖いものがなくなるといった話かもしれませんが。

 スターファイヤーの姉にしてタマラン星の女王、ブラックファイヤーはこんなジェシカを結構気に入った模様です。

 

 さて、一同はなりゆきでチームになるのですが、とにかくDarkseidが共通の敵――というわけで、Darkseid打倒のために一緒に戦うことになります。この「共通の敵を倒すために協力する」という流れはその後も続き、ジェシカ達の前に現れた強大な敵や、成り行きでジェシカ達と出会った人も「打倒Darkseid」という目標のもとに共闘することになります。

 こう書いているとDarkseidが可哀想な気さえしてきますが、読んでいる時はDarkseidが強力すぎるので同情心が全く湧いてきません。チームメンバーの一人、覆面の男OkkultがDarkseidの息子にして彼と対立しているOrionであることが分かっても、さほど頼もしい感じがありません。

 

 

 そんな中印象的なのは、たびたび挿入されるサイボーグからジェシカへのメッセージでした。サイボーグは今はDarkseidに支配され洗脳されているのですが、支配される前のサイボーグがジェシカのリングにメッセージを隠していたらしく、時々それがジェシカの頭に届きます。また、現在の操られているサイボーグからのメッセージも少しずつ混ざってきます。

 たびたび現れるこのシーンなのですが、大変な危機を予測しているらしい昔のサイボーグの優しそうで少し哀しそうな表情がとても好きです。ジェシカへの信頼と心配が伝わってきて、なんとかみんなで生きて帰ってほしいと思うのでした。