2021年8月7日土曜日

Green Lanterns (2016-) Vol.3: Polarity 感想

※このシリーズの各巻感想はこちらをご覧ください。


  Jessica Cruz (ジェシカ・クルズ)とSimon Baz (サイモン・バズ)が地球の新人グリーンランタンコンビとして活躍するRebirth期Green Lanternsシリーズの第三巻を読みました。この巻ではBatman (バットマン、ブルース・ウェイン)もゲスト出演します。

 

【基本情報】
Written by: Sam Humphries
Art by: Robson Rocha, Neil Edwards, Miguel Mendonça, Various, Ronan Cliquet, Eduardo Pansica
Cover by: Robson Rocha, Daniel Henriques
発行年 2017年


公式サイトはこちら。


 この巻には大きく分けて3つのエピソードが収録されています。

  • バットマンに呼ばれてゴッサム市に行き、ゴッサム市にはびこる「恐怖」の正体を探る話
  • 歴史上最初のランタンVolthoomと最初の指輪製作者Ramiの話(これは次巻以降に続いていくようです)
  • 兄を助けたかった男の話


 全体としては、サイモン・バズが自分の弱さを自覚してパートナーのジェシカの力に気づくストーリーになっています。

 

 

 しかし、筆者の印象に一番残ったのはこの巻の冒頭で描写されているジェシカの不安の描写でした。ジェシカは小さなころに友達が殺されるのを目撃しその後4年間アパートに引きこもり、今もAnxiety (不安)と戦っています。

 グリーンランタンになってからは力を得て、Justice Leagueにも認められている彼女ですが一方で毎朝毎朝ベッドから起きるだけで不安と戦わざるを得ず、サイモンがパンケーキデートに誘いに来てくれるのでやっとベッドから出る――という日々を過ごしているようです。

 ベッドから起き上がるまでの間、ありえないような悪い想像がぐるぐると頭を駆け巡り、

 "I can't handle this."

 「私には乗り越えられない」

 というフレーズを心の中で何度も何度も繰り返すジェシカの姿には非常に共感できました。 

 アメコミのヒーローには自信たっぷりなタイプが多いとこれまで感じていましたので、「わー、すごーい」と仰ぎ見ることはあっても共感することはなかったのですが、ジェシカのこのシーンにはとても感情移入できます。


 厚生労働省のメンタルヘルスのページを見てみると(https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_panic.html)ジェシカはパニック障害・不安障害と分類されている症状なのかな……という気がします。

 

 筆者はジェシカほど大変な経験もしていませんし、たぶん精神科に行っても特に病気だと診断されることはないだろうと思っているのですが、程度こそ違え"I can't handle this."というフレーズががぐるぐる回る状態は分かるような気がする……と思ったのでした。

 

 ちなみにこのシーン、ジェシカのパジャマがウサギさんの柄なのもポイントです。かわいい。