2018年からのCatwoman誌のVol. 6を読みました。Ram VがメインライターになったCatwoman誌の第3巻で、Ram VのCatwoman誌としてはこれで一区切りとなります。物語は前巻の続きで暗殺者Father Valleyとの対決から始まりますが、イベント"Fear State"と絡んでCatwoman (キャットウーマン、セリーナ・カイル)が覇権を握ったAllytownにもゴッサムNakano市長肝いりのMagistrate(傭兵)部隊が押し寄せます。
Writer: Ram V
Art by: Nina Vakueva, Fernando Blanco, Geraldo Borges, Laura Braga
Colorist: Jordie Bellaire, Caspar Wijngaard
Letterer: Tom Napolitano
Cover Art: Yanick Paquette, Nathan Fairbairn
発行年 2022年
公式サイトはこちら。
Catwoman (セリーナ・カイル)を殺すためにあの手この手をつくすFather Valley。セリーナは何とかそれを躱すのだったが、そのために払った犠牲も大きかった。一方でAllytownにもMagistrateが押し寄せる。セリーナは保護しているPoison Ivy (ポイズン・アイビー)を逃がすためにRiddlerを頼るのだったが……というのがあらすじです。
まず、暗殺者father Valley関連は期待外れだったと言わざるを得ません。"Catwoman"を主役にした物語ですからセリーナが殺されることはまずないだろうなと予想はしていました。それにしても、計画の失敗で割とあっさりセリーナのことを諦めたように見えるFather Valley。前巻であれだけ、人殺しのために育てられてきたような描写をしていてこれかい、とがっかりです。物語の都合上セリーナを殺すわけにはいかないし、であればどこかでFather Valleyには退いてもらわなければならないという事情は分かるのですが、もうちょっと納得の行く形で終わらせてほしかったと思います。
さて、その後はイベントFear State絡みの話となり、セリーナはポイズン・アイビーを逃すために全力を尽くすことになります。
ポイズン・アイビーは前巻の通り精神的に問題を抱えているらしく、セリーナが全面的に保護しなければなりません。とはいえ、セリーナ一人だけでアイビーを危険な場所から逃すのは困難――というわけで、果たしてセリーナは協力者として正しい人物を選ぶことができるのかというのがポイントになっています。この点について、詳しくは下のネタバレを含む感想で書きます。
Ram Vの三巻を読み終わってみると、これはセリーナの回復の第二段階目だったのだなという印象でした。バットマンと破局し、Villa Hermosaに引っ越したVol.1~Vol. 3が第一段階目。ゴッサム市の町はずれに拠点を持ったVol.4~Vol.6が二段階目。次のシリーズからは再びゴッサムの中心部に戻るようですから、これで完全復活ということになるのでしょう、たぶん。
筆者としてはAllytownの子供たちを率いるセリーナをもっと見てみたかった、さらにはアイビーを回復させて一緒に何かしてもらいたかったと思うのですがやはりキャットウーマンはゴッサムの中心部の方が輝けるのかもしれません。
ちなみに、Allytownの子供たちの一人であるShoesは、ヒーローArsenal (アーセナル、ロイ・ハーパー)とヴィランのCheshire(チェシャ, Jade Nguyen)の間の子(リアン・ハーパー)であるという設定があるらしく、この巻でもちらりとそういう描写があります。
以下、ポイズン・アイビー関係についてのネタバレを含む感想です。
セリーナがアイビーを託せる相手として選んだのはハーレイでした。……というところに特に驚きはないのですが、セリーナが「ハーレイならアイビーを任せて大丈夫」というコマはそれまでの緊張続きの展開からぱっと晴れやかになる印象がありました。
それぞれにいろいろ事情はあれど、ゴッサム市の女性ヴィラン同士でアイビーとハーレイ、セリーナには友情を維持してもらいたいものですし、何ならかつてのようにGotham City Sirens (感想はこちら)を結成してほしいものです。何とかならないものでしょうか。