2025年11月3日月曜日

Supergirl: Universe End -いくらでも深読みはできるけれど-

  Mariko TamakiのSupergirl誌を読みました。2024年のAction Comics誌でバックアップとして連載されていたものをまとめたTPB (単行本)のようです。

 【基本情報】

Written by: Mariko Tamaki
Art by: Meghan Hetrick, Skylar Patridge
Colorist: Marissa Louise
Cover by: Jamal Campbell
発行年 2025年


公式サイトはこちら。


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 今日も今日とて、地球で戦うスーパーガール。ある日、スーパーマンから極秘のミッションを依頼されるのだった。そのミッションの地は、宇宙。詳しい事情を知らないままに出発したスーパーガールは果たしてミッションを終え無事に帰還することができるのか――というのがあらすじです。 

 まず、アートは素晴らしいです。どのページもきれいなアートなのでストレスなく読むことができます。 

 肝心のお話は、いかようにも読むことができるという点で評価が分かれるところかもしれません。敵の存在がはっきりしないままに話が進んでいくので物語の構図がつかみにくく、もやもやしている間に終わってしまったという印象も持ちます。とはいえなんか深いことを言っているような気もする――という感想になる作品です。

 

 以下、ネタバレを含む感想です。

 

 

 敵はこれまでのDCコミックス誌に登場した敵ではなく、新しい敵です。で、名前がFear (恐れ)とRage (怒り)です。

 この本でのスーパーガールは、「大事なことに間に合わなかった人」として描写されており (地球についたらスーパーマンがとっくに大人になっていたとか)、今回も間に合わないのかと思いながらFearとRageが世界を滅ぼさないよう戦うことになります。

 ……という作品なので、現在の世界情勢を重ね合わせればいくらでも深読みはできるのですよ。世界に渦巻く恐れと怒りのせいで戦争は止まらないけど私たちはまだ間に合う! という話として読むこともできますし。とはいえ、こんな優等生的な解釈だけでいいのかという迷いは正直あります。

 敵の名前がFearとRageというのがストレートすぎて、もうちょっとこう、「この敵は恐れという感情を一番の動機にして動いているんだな」とかなんとか考える隙間がほしかったというのが素直な思いです。ここまでストレートに表現されるともはやお説教されているみたいという感想になってしまいました。